人造スノーストーン

翌日。

情報収集に協力してくれたお礼もかねて、コーラル商会のトマーシュさんを訪問。

今日はガロッソさんも一緒だ。

僕としては都合がいいね。


「こんにちは。」


ガロッソ

「おお、久しぶりだな。

スノーデン王国に行ってたらしいな。」


「そうなんですよ。

それで行く前にトマーシュさんに色々教えてもらったから、お礼をかねてお土産を持ってきたんです。」


トマーシュ

「悪いね。

気を使わせてしまって。」


「じゃじゃ~ん。

これがスノーストーンです。」


僕は2人にスノーストーンを渡す。


ガロッソ

「確かになかなかの冷たさだな。

買いたくなる気持ちもわかる。」


トマーシュ

「実物を見るのは初めてだよ。

確かに魅力的に見えてしまうね。」


「1ヵ月ぐらいでただの石になっちゃうんだよね。」


ガロッソ

「面白いお土産だったぞ。」


「いや~、本命は別なんですよ。

これです。」


僕は人造スノーストーンを2人に渡す。


ガロッソ

「これは?」


「僕のお手製のスノーストーンです。」


トマーシュ

「アキラ君が作ったのかい?」


「そうなんです。

意外と簡単に作れるんですよ。

しかも、本物と違って面白い特性があるんです。」


ガロッソ

「面白い特性?」


「冷気は2~3日で消えてしまうんですけど、魔力さえ補充すれば、何度でも冷気が戻ってくるんです。」


ガロッソ

「なっ!?

本当か!」


「嘘は言いませんよ。」


ガロッソ

「魔力の補充は誰でも出来るのか?」


「大丈夫です。

レベル1の人でも2~3個は軽く出来ると思いますよ。」


ガロッソ

「この人造スノーストーンは誰でも作れるのか?」


「技術的には職人なら作れると思いますよ。

でも素材の確保が大変かも。

スノーデン王国でなら確保出来るんですけどね。」


ガロッソ

「この人造スノーストーンは魔力の補充をすれば本当に何回でも使えるのか?」


「大丈夫ですよ。

たぶん100回や200回ぐらいなら問題なく使えると思います。」


ガロッソ

「これはうまく使えば物流が変わるぞ。

幌馬車の中にいくつか設置しておけば、冷たいままで運ぶことが出来る。

画期的だぞ。」


「商売になりそうですか?」


ガロッソ

「もちろんだ!

特にジプート連邦などの暑い国ならとても需要があるはずだ。」


「僕は直接作るつもりはないから、

そうだな~、、、

ガンズ工房に製造を委託しましょうか。」


ガロッソ

「そうか。

確かにあそこは金属加工に定評があるからな。これも金属で出来ているよな?」


「魔鉄です。」


ガロッソ

「魔鉄か。

ならベルン王国で十分確保出来るな。

ならスノーデン王国の素材をベルンに運ぶ。

ベルン王国で人造スノーストーンを作る。

作った人造スノーストーンをジプート連邦まで運んで売る。

そういう流れだな。」


「じゃあ、

ガンズ工房に話をしてみますね。」


ガロッソ

「それとだ。

利益の配分だ。

売上の2割でいいか?」


「2割ももらっていいの?

だってガンズ工房への依頼が終わったら、僕は何もしませんよ。」


ガロッソ

「発明して、製造先まで見つけてきてくれるんだ。当然の取り分だ。

うちは人造スノーストーンを使った物流の方で儲けるから、人造スノーストーンを儲けそのものにはこだわらないよ。」


「そういうもんなんだ。

じゃあ、ガンズさんに相談してきますね。」


ガロッソ

「ちょっと待ってくれ。

その前にパエルモ伯爵のところに顔を出してくれ。

アキラが来たら、伝えるように頼まれてたんだ。」


「わかりました。

じゃあ、先にパエルモ伯爵のところに行きます。なんかあるのかな?」


ガロッソ

「さあな。

心当たりはなくはないが、

直接聞いた方がいいだろう。」


「そうですね。

とりあえず行ってきます。」


ガロッソ

「おお、行ってこい。

最高の土産だったぞ。

ありがとよ。」



コーラル商会を出て、そのままパエルモ伯爵のお屋敷へ。

何か用事があるのかな?

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