白熊人
お誘い頂いたのでついて行くことにしました。
僕に声をかけてくれた白熊人はデュラデュラという名前のおばちゃんだった。
息子さんと二人暮らし。
デュラデュラ
「本当にすごいわね~。
そんな小さな体でノースポートまで来るんだから。」
白熊人は大きい。
身長2メートル、体重もたぶん200キロはあるんじゃないかな。
しかも身体中がモジャモジャの毛に覆われているから、更に大きく見える。
デュラデュラ
「さぁ、これでも食べて温まりなさい。」
僕
「これは?」
デュラデュラ
「マンモススープよ。
この街の主食よ。」
僕
「ありがとうございます。」
うーん。
かなり癖がある。
たぶん、血液を使っているのかな?
栄養はあるんだろうけど、美味しくはない。
デュラデュラ
「マンモスの肉と内臓を血液で煮込んでいるの。」
僕
「個性的な味ですね。」
ノースポートではマンモスが生命線らしい。
普通のマンモスじゃないよ。
モンスターだから、すっごい大きいらしい。
肉、内臓、血液は食べる。
皮、毛、骨、牙、これらが服、家、道具になっていく。
家もマンモスの骨を柱に皮を壁や床にしている。
僕
「でもマンモスを狩るのって大変じゃないですか?」
デュラデュラ
「そうだな~。
大きいからな~。
街の若い衆が協力して狩りをしているの。
若い衆が狩りをしている間、私たちおばさんは皮の加工や料理を担当しているのよ。」
街のみんなで協力して生活しているみたい。
デュラデュラさんは街の話をいろいろ教えてくれた。僕には外の世界の話を求めてきた。
でも、僕にはトーク力がないからね。
上手く話が出来たかはわからないけど。
デュラデュラさんは旦那さんを既に亡くしていて、ドルドルさんという息子さんと暮らしているらしい。
息子さんは仲間と共に狩りに行っているらしく、今日は帰って来ないらしい。
家はマンモスの皮で作ったテント。
布団もマンモスの皮。
いくら耐寒効果があっても普通の人には耐えられない環境だね。
普通なら寒過ぎて眠れない。
いや、永遠の眠りについちゃうパターン?
僕は結界で守ってるから大丈夫だけど。
こんな環境で生活出来る白熊人たちはすごいね。
翌朝。
デュラデュラ
「本当にツンドラ大陸に渡るの?」
僕
「はい。」
デュラデュラ
「ここまで1人で来たんだから、強いんだろうけど、無茶しちゃダメよ。」
僕
「ありがとうございます。
僕は大丈夫ですよ。
あっ、それと、
昨日泊めてもらったお礼です。」
僕は回復薬を数本差し出す。
比較的下位の回復薬です。
効果の強いのを渡すのはトラブルのもとだからね。
デュラデュラ
「えっ、いいのかい?
でもアキラ君は大丈夫なのかい?
これから海を渡るなら必要なんじゃないのかい?」
僕
「自分用のは持ってますよ。
荷物を減らすためだと思ってください。」
デュラデュラ
「あら、気を使わせちゃったわね。
息子が怪我をした時にありがたく使わせてもらうわ。」
僕はデュラデュラさんとお別れして、海を渡る。
どこからが海なのかもわからない。
なにせ、全部凍ってるからね。
とにかく、真っ白。
景色が変わらない。
とりあえずダンジョンマップを頼りに、飛んで行く。
これは方向感覚が狂うね。
なにせ、どこを見ても雪しかない。
これで吹雪いて視界が失くなったり、
モンスターに襲われたり、
地面が動いちゃったり。
それで歩いてだと1週間以上はかかるんだから、危険過ぎるよね。
ダンジョンはすぐにわかった。
真っ白の大地にポッカリ、黒い口を開けていた。
ここだけは雪が積もってない。
とりあえず、中に入って登録してしまおう。
攻略する時は従魔たちも呼んでおかないと後で文句言われちゃうもんね。
特にドラに。
一度家に帰ろう。
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