連合軍最高司令官

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今回はアーサー視点です。

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貧乏くじだ。

エドワルドは厄介事をすべて私に押し付けてくる。

今回は東ドバンへの援軍のリズムリア王国軍の総大将を任された。


ただの援軍だ。

戦いに勝っても領地が得られる訳じゃない。

基本は赤字の出兵だ。

しかも、戦力で劣る東ドバン。

カルマールはおそらく長期戦に持ち込んで、西ドバンの疲弊を狙うはず。


長期戦。

しかも寄せ集めの連合軍。

ストレスしかないな。




バレティアで各国の軍と合流した。

何故か私が連合軍の総大将になっていた。

確かに大国の参加はなく、参加した国の中ではリズムリア王国は大きい方だ。


ジプート連邦やスノーデン王国は自国でドバン帝国とにらみ合いを続けている。

それも十分東ドバンへの支援になっている。


先日のドバン帝国からの脱出での活躍を買われて、総大将になったが、私には大軍を指揮した経験はない。

そんな私に、寄せ集めの連合軍の総大将は荷が重い。

どこかで失態をさらしてしまうかもしれない。


こんな時にこそ、セージにいて欲しいのだが、今回は参加していない。

セージはリズムリア王国の守りの要。

東ドバンが負けた時には、バレティアが前線になるため、バレティアから動かせないのだ。



とりあえず、行軍は多少の遅れは出ているが大きな問題はない。東西ドバンの決戦には間に合うだろう。


夜のテント。

行軍中はテントで寝泊まりだ。

我慢するしかない。


「こんばんは。

今いい?」


アーサー

「なっ!?

・・・その声はアキラか!」


アキラ

「正解。」


アーサー

「わかった。

顔を出せ。

お前が相手ではどんな警備も無意味だからな。」


アキラが急に現れる。


アキラ

「すいません。

急に来て。」


アーサー

「お前にまだその感覚が残っていて良かったよ。

だが、わざわざ、なんの用も無いのにここまで来ないだろ。

何があった?」


アキラ

「えっとね、

たまたまなんだけど、西ドバンの作戦を知っちゃったから、アーサーさんに伝えておこうと思って。」


アーサー

「西ドバンの作戦?

どんな作戦だ。」


アキラ

「反東ドバンの人たちを集めて、開戦のタイミングでアルバンを奪還するんだって。」


アーサー

「なにっ!?

それは、、、まずいぞ。

その作戦の進捗はどうなんだ?」


アキラ

「もう予定の人数は集まっているから、アルバン周辺の街に集めて、合図があれば、いつでも動ける状態みたいだよ。」


アーサー

「ちっ、

そんな作戦を成功されたら東ドバンの負けは確定だぞ。」


アキラ

「だよね~。

たぶん大変そうだな~って思ったから、急いで伝えに来たんだよ。」


アーサー

「ありがとう。

よく知らせてくれた。

これは大きな情報だ。

やつらの狙いがわかれば対応は出来る。

助かったぞ。」


アキラ

「じゃあ、これは貸しね。

今度なんかあったら力を貸してよ。」


アーサー

「わかった。

恩を忘れるほど薄情ではないよ。」


アキラ

「じゃあ、気をつけてね。」


アキラがいきなり消える。


アーサー

「アキラはなんでもアリだな。」


さて、どうしたものか。

アキラからの情報だ。

疑う余地はない。

だが、なんの証拠もないし、連合軍は寄せ集め。裏切り者が紛れ込んでいないとも限らない。

それに私の言葉に素直に従うとも限らない。

信頼出来るメンバーを選んで伏兵としよう。

アルバンを奪われては我々は帰れなくなってしまう。


何も気付いていないフリを続けて表向きは進軍を続けよう。

そして、アルバンが襲われた際に伏兵で救援しよう。

狙った作戦が失敗すれば西ドバンの気勢を削ぐことが出来るはず。


早く戦争を終わらせて、リズムリア王国に帰りたいな。

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