ミソラファミリー

感動の再開を終えて。

ようやく落ち着いて座ることになりました。


四角いテーブルに、

僕とミソラさんが並んで座る。

ミソラさんの祖父母が対面

両親が僕の側

妹と弟がミソラさん側


ミソラ

「えっと、説明が少し長くなるんだけど。

こちらはアキラ様。

私の恩人だし、今の雇用主なの。

だから、

丁重に対応してね。」


ミソラ祖母

「ミソラが世話になっているみたいだね。

ありがとうね。」


「あ、いえ、こちらこそ。」


何がこちらこそなのかはまったくわからないけど、そんな返答になっちゃいました。


ミソラ

「順を追って説明するね。

私の所属していた部隊が降伏して、生き残った隊員は全員捕虜になったの。

で、一部の将校を除いて、一般隊員は奴隷として売られたわけ。

その奴隷になった私を買ってくれたのがアキラ様なの。」


ギロリ

ミソラさんの祖母が睨んできた。

そりゃ、かわいい孫娘を奴隷として買ったと聞いたら良い気はしないよね。


ミソラ

「誤解しないでね。

アキラ様はすっごく良い人なの!

奴隷として買われたけど、今度オープンするラーメン屋の従業員をさせてもらう予定だし。嫌なことは何もされてないから!」


ミソラ祖母

「ラーメン屋!?」


ミソラ

「あ、うん。」


ミソラさんが僕の顔をチラッと見てくる。

僕は軽く頷く。


ミソラ

「アキラ様はおばあちゃんと同じ異世界人なの。それで飲食店を経営してて、単純に秘密を守れる従業員として奴隷を買っているだけ。扱いはむちゃくちゃ良いのよ。」


ミソラ祖母

「本当に異世界人なのかい?」


「一応、異世界人です。」


ミソラ祖母

「それで、ラーメンをこの世界で再現したの?」


「ええ。

元の世界でも行列が出来るぐらいのクオリティーですよ。」


ミソラ祖母

「どこに出店する予定なの?」


「アカツキ王国のデジーマです。」


ミソラ祖母

「デジーマ!?

そんな遠くでやるのかい!?」


ミソラ

「本当だよ。

詳しくは言えないけどアキラ様は特殊なスキルを持っているの。」


ミソラ祖母

「そうか。

確かに異世界人なら特殊なスキルを持っていてもおかしくないし、その秘密を守るために奴隷を買うのもうなずけるね。

疑って悪かったよ。」


「信じてもらえて良かったです。」


ミソラ

「今日も海を渡る前に家族を安心させたいって相談したら、パエルモからここまで送ってくれたんだよ。」


ミソラ祖母

「パエルモ、、、

リズムリア王国のパエルモかい?」


ミソラ

「そうだよ。」


ミソラ祖母

「ハッハッハッ、

すごいね。

そこまでのお人好しに初めて会ったよ。

アキラさん、孫のこと、頼んだよ。」


「はい。

従業員は家族みたいなものですから。

悲しませるようなことはしませんよ。」


ミソラ妹

「お姉ちゃんとアキラさんって付き合ってるの?」


「えっ!えぇっ!?」


ミソラ

「バカなこと言わないの。

そんなこと言ったらアキラ様にご迷惑をかけてしまうわ。

アキラ様がとびきり優しいだけで、お付き合いなんてしていません。アキラ様はすべての従業員にとても優しいんです。」


ミソラ妹

「そうなんだ~。

だって家にいた時より断然きれいになってるし、恋の力かな~って思ったのに。」


ミソラ

「恋の力じゃなくてお金の力ね。

アキラ様の従業員は髪のトリートメントとかお肌の手入れとか、貴族様並にさせてもらえるの。食べ物もすっごく良いし。」


ミソラ妹

「うらやましい~。

私も働かしてもらえないかな?」


「え、あ、えっと~、あの、、、」


ミソラ

「真剣に考える必要はございません。

無視してください。」


ミソラ妹

「ひどいな~。」


そんなこんなで場の空気が和み、雑談に。

ミソラさんの祖母の名前はミヨコさん。

昔は冒険者として活躍していたらしい。

今でも実質的な家長として君臨している。

確かに一番凄みがあったね。

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