舞台『奇跡の大脱出』
劇が始まった。
内容は先日あった、アーサーさんのドバン帝国からの脱出劇をモチーフにしているみたい。
だから僕を招待してくれたんだろうね。
第一幕はドバン帝国からの招待状が届き、アーサーさんが出発するまで。
第二幕は帝国到着から、レギンが父親を殺すまで。
第三幕は帝国からの脱出劇。ここが一番の盛り上がりポイントみたい。
第四幕は各国の使者との別れ、そして帰還。
涙あり、笑いあり、アクションありの大作だった。
作品の根幹は『兄弟の絆』。
エドワルド国王は国を想い、弟を想い、先々を見通す名君として描かれている。
アーサーさんのピンチを事前に推察して、策をめぐらせて助けていた。
アーサーさんはかなり人間的。
失敗したり、
罠にはまったり、
諦めそうになったり、
それでも頑張る姿に観客は応援を送っていた。
この兄弟の絆をアピールするのがペネロペさんの狙いなんじゃないか、ってルーシュさんは推測してた。
今回のドバン帝国からの脱出劇でアーサーさんの評価が大きく上がった。それは下手をすれば国王の不興を買ってしまう。
そこで、今回の脱出劇を裏から支えたのはエドワルド国王であり、アーサーさんとは非常に仲の良い兄弟であるとアピールする。
そうすることで、エドワルド国王もアーサーさんを大事にせざるをえない状況を作っている。
ペネロペ様はなかなか頭が切れるらしい。
こうやって民衆に兄弟の仲が良い、とアピールすることで、エドワルド国王もそれに乗っかるしかない。
アーサーさんの身を守る為の戦略のようだ。
もちろん、すべてルーシュさんの推測だから、ハズレているかもしれないけど、話に説得力はあった。
劇にはセージさんも登場している。
ドバン帝国に向かいながら、死を覚悟していたアーサーさん。バレティアでセージさんが合流。
アーサーさんの身を案じたエドワルド国王がセージさんに同行をお願いしていた、ってことになっていた。
そしてドバン帝国からの脱出劇では、
セージさんは剣を振り回し、縦横無尽の大暴れ。まさに無双状態。
三国志の関羽みたい。
バッタバッタと敵を薙ぎ払い、その名前を聞いただけで帝国兵が慌てて逃げていく。
実際は魔法メインだから、そんなに剣を振るってないけどね。
デニムさんは黄忠かな。
豪快に暴れるお年寄りとして、セージさんのピンチに大暴れしていた。
僕っぽい人もちょっとだけ出てきた。
森の中でみんながお腹を空かせている時に、エドワルド国王が事前に森に食糧を隠すように指示をしていたので、リズムリア王国一行は潤沢な食糧があった。
それを仲間想いのアーサーさんがみんなに振る舞うというシーン。
そこで料理を作っている人が、僕に似せていた。
第二幕ではアーサーさんとカルマールさんの友情を描くシーンがあった。
レギンは極悪非道な悪者。
カルマールさんは元々帝国の皇族だが、アーサーさんとの交流で、今までの帝国のやり方を反省し、各国との融和路線に切り換えることを約束。
父親殺しの極悪人、レギンと戦うことを決意する。
これも東ドバンとの友好的な関係を民衆に納得させるため、らしい。
随所に政治的な意図は見え隠れするけど、作品として面白かった。
劇を終えて、
ペネロペ様がコメントを言う流れになった。
ペネロペ
「エドワルド国王陛下の弟、
アーサー様の妻、ペネロペです。
今日は大変面白い舞台でした。
監督、脚本家、演者の皆さまに盛大な拍手を。」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ
会場から拍手がまき起こる。
ペネロペ
「帰ったらアーサー様には当面、禁酒をして頂きましょう。」
ハッハッハッハッハッハッハッハッハッ
会場から笑い声。
これは帝国でアーサーさんが酔いつぶれて失敗するシーンがあったからだろう。
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