観劇しよう

クレセントムーンのみんなはコーラル商会でお世話になることが決まりました。

ヒナタさんとマヒルさん。

異世界人同士で仲良く出来るんじゃないかな。

良かった、良かった。




数日後、いきなりマサキがやってきた。

バレティアのセージさんに渡したクラスメートたちの洗脳も上手くいっているみたい。

マサキが百田先生の話を始めた時はドキドキしたよ。僕が奴隷の腕輪で洗脳したことがバレたらどうしよう、ってドキドキだったよ。


とりあえず、マジックバックをあげた。

ちょっとだけ容量アップするだけで、劣化防止はついてない。

僕には使い道がないランクだ。

正直、ダンジョンアイテムも増え過ぎて、マジックバックも溢れている。


マサキは早々にアカツキ大陸に向けて出発した。当分帰ってこないんじゃないかな。

なにせ、船旅は時間がかかるからね。





マサキ訪問から数日後。

今日は王都にお出かけだ。

ルーシュと一緒に来ている。

実はペネロペさんから招待されました。


ペネロペさんはアーサーさんの妻。

つまり王様の弟の妻。

偉い人だね。

気さくだけど。


今回は一緒に劇を見ようとのお誘いでした。

そりゃ、断れないでしょ。

条件が2つ。

1つはドレスコード。

ちゃんとした格好しないとダメなんだって。

僕はタキシードっぽい服。ルーシュさんはドレスだ。


もう1つは女性同伴。

ペネロペさんと一緒に劇を僕だけで見ると、不倫みたいな噂になっちゃうからダメらしい。

誰を連れて行こうって話になった時、

貴族っぽい対応ならルーシュさんが最適だろうってことになりました。


ルーシュさんはすっごい張り切ってる。


ルーシュ

「貴族にとっては観劇もパフォーマンスの1つなんです。今回は新作の劇のようですが、わざわざペネロペ様が行かれる以上、何か狙いがあるはずですよ。」


「お芝居を見るだけでも、色々と考えないとダメなんだね。貴族の世界って難しいね。」



今や王都は転移網で満月亭がつながっているから、すぐに行ける。

やっぱり便利だね。


この世界では劇場は人気の娯楽の1つだ。

僕は元の世界でも学校の課外授業として観たぐらいしかないけど。

王都の劇場はかなり大きい。

千人規模が入れる。

大衆の一般席、

ちょっと高価な指定席、

貴族向けの貴賓席、

席はいくつかのランクに分かれている。


僕はペネロペ様のご招待だからね。

当然、最上級の席。


ペネロペ

「アキラ様、

ようこそお越しくださいました。」


「お久しぶりです。

お招き頂き、誠に有難うございます。」


ペネロペ

「さぁ、そちらの席にお掛けになって。」


ペネロペさんのすぐ隣の席に僕とルーシュさんが座る。

この席、観衆にむちゃくちゃ見られる。

ちょっと恥ずかしい。


ペネロペ

「可愛らしい方ね。彼女さんかしら?」


「うちのお店の従業員です。

ルーシュと申します。」


ルーシュ

「ルーシュと申します。

ペネロペ様にお会い出来て光栄です。」


ルーシュさんは優雅に挨拶をした。


ペネロペ

「お会いしたことがないから、

満腹亭の方かしら?

是非、そちらも食べに行きたいわ。」


「うちの従業員の顔まで覚えているんですか!?」


ペネロペ

「満月亭は個性的な方ばかりだから、すぐに覚えられるわ。

嘘っぽい表情で固まった貴族連中を覚えるよりも、何倍も簡単よ。」


ペネロペ様、そんなこと言っていいの?

相槌も打っていいかわからないよ。


ペネロペ

「今日の劇はアキラ様にも関係のある内容なの。是非楽しんで頂きたいわ。」


「僕に関係ある内容?

どういうことですか?」


ペネロペ

「それは観てのお楽しみよ。」


イタズラっぽく笑うペネロペ様。

美人だよね~。


ペネロペ

「さぁ、そろそろ始まるわ。

楽しんでね。」


「有難うございます。」


僕の心配は寝てしまわないかどうか、なんだよね。大丈夫かな?

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