これまでのこと

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今回はマサキ視点です

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


百田

「私たちはアジトを引き払って、

アカツキ王国を目指したの。」


マサキ

「アカツキ王国?

海を渡るつもりだったんですか?」


百田

「そうよ。

アカツキ王国は異世界人が建国したと言われていて、文化的にも元の世界に一番近くて、異世界人には住みやすいという情報があったの。

だから、

もしかしたら、アカツキ大陸に渡っているクラスメートもいるんじゃないか、

少なくとも異世界人の情報は集まりやすいんじゃないかと考えていたの。」


カナ

「まぁ、もしかしたら平田がアカツキ王国に行きたかったから、ある事ない事、吹き込んだだけかもしれないけどね。」


百田

「今となってはわからないわね。

それでこのバレティアまで来た時に、

私たちは捕まってしまったの。」


マサキ

「どうしてですか?」


百田

「ここのボス、

リズムリア王国の第2騎士団の団長、

セージ様は私たちと同じ異世界人なの。」


カナ

「本当は市川誠治って名前よ。」


マサキ

「えっ!

異世界人で騎士団の団長をしているんですか?」


百田

「そうよ。

それでね、セージ様は元々異世界人の保護を行っていたの。それで私たちがパエルモで大野君と杉山君を助ける為に領主の屋敷を襲った事件から、私たちが異世界人なんじゃないかと考えて、探していたそうよ。」


カナ

「何も知らない私たちはいきなり捕まって、

平田は『奴隷の腕輪』を解除させられた。

そこでようやく、私たちは操られていたことに気付いたんだ。」


百田

「操られていた間の記憶は少しぼやけてしまっているところもあるけど、だいたいのことは思い出したわ。

そして、平田君は全員を操って犯罪行為を行った犯人であり、『奴隷の腕輪』を着けても自分で解除してしまうことから、私たちとは違う処罰が下されたの。」


マサキ

「処刑されたんですか?」


百田

「いいえ。

セージ様の温情で国外追放になったわ。」


マサキ

「そうなんですね、、、」


百田

「私たちも操られていたとは言え、無罪とはいかなかった。犯罪奴隷として、騎士団で働くことになったの。

でも実際は、奴隷というよりも、普通の騎士団の一員という扱いよ。

この部屋も他の団員と同じよ。」


カナ

「食事も普通に食べられるし、給料も貰えるから、一般市民よりも裕福なぐらいよ。」


マサキ

「じゃあ、

もうクラスメート探しは諦めたんですか?」


百田

「諦めてはいないわ。

私たちがしっかりと働く代わりに、

セージ様の部下が各地で異世界人の情報を集めてくれているの。」


マサキ

「他人任せってことですか?」


カナ

「マサキ!

そんな言い方ヒドイよ!」


マサキ

「ごめん。

でも、、、」


百田

「いいの。

北条君の言いたいこともよくわかるから。

でもね。

ここでの犯罪奴隷としての生活をしていて気付いたの。

もし無理矢理、奴隷になったクラスメートを奪ったり、逃がしたりしたら犯罪者になってしまうの。

そうすると、街で普通の生活を送ることも出来ずに隠れ続けるしかなくなる。

でも、セージ様が正規のルートで救い出せば、その後も隠れて生きていく必要が失くなるの。

これは大きなことよ。」


マサキ

「確かに、、、

それで、そのセージって人は信用出来るんですか?」


カナ

「ある程度は信用出来ると思うよ。

聖人君子じゃないし、

打算的なところもあるけど、

異世界人を探して保護しようとしているのは本当よ。」


マサキ

「打算的っていうのはどういうこと?」


百田

「このバレティアはドバン帝国との国境を守る為の街よ。そこの責任者が強い力を持つ異世界人を集める。

その意味はわかるでしょ。」


マサキ

「良い生活は保証する。

その代わり、非常時には力を貸せってどころですか?」


百田

「そうね。

私たちは犯罪奴隷だから拒否権はないけど、

普通に保護された場合、戦争参加の判断は本人に委ねることになるわ。

悪い話ではないでしょ。

北条君もどうかな?」

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