足跡を辿って

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今回はマサキ視点です

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


少し時間を遡る。


マサキ

「もぬけの殻だな。」


クレセントムーンのみんなと別れて、俺はアジトにしていた建物にやって来た。

相当の覚悟をしてきたんだが、誰もいなかった。


マサキ

「アジトを引き払って移動したのか、、、

どこへ行ったんだ?」


百田先生たちは世の中では、

脱走した奴隷や、

強盗犯という立場だ。

目立つ行動を取れる立場じゃない。

隠れて潜む。

追跡するのはなかなか難しいだろう。


マサキ

「でも、もう諦めないぞ!」


人数は多い。

多少は痕跡あるだろう。

なんとしても追いかける。


そして、

平田の魔の手からみんなを救い出す!


そこから、情報を集めながら、追跡を開始した。

俺が逃げ出して、すぐにアジトを出たようだ。東に向かったことはわかった。


俺が東から来たから、来た道を戻っていくことになった。

少しずつ情報を確認しながら進んでいく。

あの人数が動くんだ。食料など、必要な物は多い。


アルバンまで来た。

情報を集めた。

どうやらリズムリア王国に入ったようだ。

もしかしたら、アカツキ王国まで行ったのかもしれない。




俺がバレティアまで来て、情報を集めている時に、驚くべき光景を見つけた。


マサキ

「カナ!?」


カナ

「マサキ!?」


街中で買い物をしているカナがいた。

バッと腕を見る。

奴隷の腕輪だ。

まだ平田の支配下にいるのか?


カナ

「良かった。

マサキ、無事だったんだね。

良かった、、、」


涙ぐむカナ。


マサキ

「カナ。

カナも無事で良かった。

みんなは?」


カナ

「大丈夫よ。

みんな元気にしてるわ。」


マサキ

「平田、

平田はどうしてる!」


カナ

「平田は処断されたわ。」


マサキ

「えっ。」


カナ

「事情を説明しないとダメよね。

百田先生のところに一緒に来てくれる?」


マサキ

「あ、ああ。」



カナについて歩いていく。

操られているのか?

でも、平田を呼び捨てにしていた。

処断されたとも言っていた。

どちらにしても警戒は必要だろう。


カナが案内してくれたのは騎士団の寮のようなところだった。


コンコンコン


カナ

「百田先生、いらっしゃいますか?」


百田

「あら、カナさん。

ちょっと待ってね。

今開けるから。」


中から百田先生の声が聞こえた。


そして、ドアが開く。

俺の存在に気付いた百田先生。


百田

「北条君!

良かった!

無事だったのね!」


マサキ

「先生も元気そうで良かったです。」


カナ

「さっき、そこで会ったんです。

それで状況を説明するために先生のところに来ました。」


百田

「そうね。

立ち話もなんだし、中に入って。

お茶を用意するわね。」


小さな部屋だな。

だが、きれいで清潔感もある。

俺とカナは椅子に座り、先生はベッドに腰掛けた。


百田

「さてと、どこから説明しようかな、、、

まず、1つ言っておかないといけないことがあるの。

北条君と出会った時、

私たちは平田君に操られていたの。」


マサキ

「知っています。

俺はそれに気付いて、、、

逃げ出してしまいました。

すいません。

本当に、、、すいませんでした。」


百田

「その判断は間違いじゃなかったわ。

北条君は何も謝ることなんてないのよ。

北条君が操られなくて良かった。

本当よ。

勇者である北条君まで平田君に操られていたら、誰も止められなかったかもしれない。

頭を上げて。

謝らないといけないのは私なんだから。

私が簡単に操られてしまったから、

みんなを巻き込んでしまったの。

だから、私の責任なの。

本当にごめんなさい。」


マサキ

「・・・先生。

先生も頭を上げてください。

今はもう操られてないんですね。」


百田

「大丈夫よ。

今のこの『奴隷の腕輪』は犯罪奴隷として着けられているものだから。」


マサキ

「犯罪奴隷?」


百田

「ええ、そうよ。

北条君がいなくなった後のことを説明するわね。」

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