お誕生日パーティー

ヒデタダ

「今日はミッツの10歳の誕生日を祝う為に集まってくれたことに心から感謝したい。」


パチパチパチパチパチパチパチパチ

ヒデタダ様の言葉に拍手が送られる。


その後もヒデタダ様の挨拶が続いた。

挨拶の途中で僕らの話になった。


ヒデタダ

「今日はリズムリア王国から料理人が来てくれている。先日、リズムリア王国を訪れた際に非常に美味しい料理を提供してくれた者たちだ。

是非、皆も楽しんで欲しい。

ホンダ卿、

手配してくれたことに感謝する。」


ホンダ公爵が軽く頭を下げる。


その後もヒデタダ様の挨拶は続き、ようやく終わった。


そして、パーティーは始まった。

ヒデタダ様とミッツ様は会場の中心にいて、順番に挨拶に対応している。


僕らのところにもお客さんがやって来る。

ヒデタダ様が紹介したから、他の料理よりも人が集まってくる。

アイラさんが上手く整列させて、混乱がないようにしてくれている。


評判は上々かな。

みんな美味しそうに食べてくれている。


バタバタとお客さんの相手をしていると、急に会場の雰囲気が変わった。


会場に一団が入って来た。

そこに歩み寄るヒデタダ様とミッツ様。


ヒデタダ

「陛下、

お越しくださり有難うございます。」


国王

「なに、

今日は孫の顔を見に来たただのじじいだ。

皆も私のことは気にせず、パーティーを楽しんでくれ。

ミッツ、いくつになった?」


ミッツ

「10歳でございます。」


国王

「顔が凛々しくなってきたな。

将来が楽しみだ。

勉強も頑張っているか?」


ミッツ

「はい。」


王様がやって来て、ピリッとした会場もすぐに元の雰囲気に戻った。


しばらくすると、僕らのところに王様がやって来た。


僕が慌てて礼をして、どうしようかと戸惑っていると、


国王

「固くならんでもよい。

リズムリア王国から帰ってきたヒデタダが旨い料理を食べたと自慢しておったからな。

私ももらっていいかな?」


「も、もちろんでございます。」


魚料理、肉料理、デザートと順番に食べていく。


国王

「確かに絶品だ。

それぞれ、どんな料理か教えてくれるか?」


どうしよう!?

説明なんて無理だよ。


フィオ

「最初にお召し上がり頂いたのは、

エビとカニのカクテルサラダでございます。

魚介の旨味と私どもの自慢の野菜を和えています。魚介の旨味に負けない野菜の味わいを感じて頂けると嬉しいです。」


国王

「なるほど、確かにいつも食べている野菜よりも味や食感がしっかりしていた。

野菜でこんなにも変わるものなのか?」


フィオ

「私たちのオーナーであるアキラ様は畑作りからこだわってらっしゃいます。

そこで採れる野菜たちは別格です。」


国王

「凄いこだわりだな。

ありがとう。

肉料理も教えてくれるか?」


リィズ

「ドラゴンのロティです。

グレートドラゴンの肉をしっかりと熟成させてから調理をしております。」


国王

「グレートドラゴン!

滅多に市場に出てこない貴重品だな。

その熟成というのは何をするんだ?」


リィズ

「温度と湿度を管理しながら肉を寝かせてあげると、より旨味が強くなるんです。」


国王

「ただ貴重な食材だと言って出すのではなく、それを更に美味しくしようとする探求心には脱帽だ。

美味しくて当然だな。

そちらのデザートも教えてくれるか?」


チーラン

「南国フルーツのズコットと

ピスタチオとラズベリーのズコットです。

ジャブル大陸やハンドル群島のフルーツを楽しめるズコットと、

甘さは控えめにして、さっぱりと素材の良さを感じられるようにしたズコットの2種類です。」


国王

「世界中から食材を集めているのか?」


チーラン

「アキラさんのところにある食材は種類もその品質も世界トップクラスだと思います。

その食材を自由に使える私たちは幸せです。」


国王

「アーサー殿が手放したがらないのがよくわかるよ。私も既にとりこだ。

なかなか難しいとは思うが、また料理を作りに来てほしい。

アカツキ王国はいつでも歓迎しよう。」


「あ、ありがとうございます。」


とにかく深々と頭を下げる。

喜んでもらえたみたいで良かったです。

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