邂逅

平和だ~。

今日も特に問題なく、満腹亭でお仕事です。

まぁ、雑用係だけど。

料理はリィズやフィオ、チーランさんの邪魔になるし、接客は苦手だし。

それにお客さんも、特に男性客は、僕より女性陣に配膳される方が嬉しそうだし。

僕に出来るのは雑用だけになっちゃうんだよね。現在も店の前で片付けの準備中。


今日のランチも気持ちよく完売。

後は数人のまだ食べているお客さんが帰れば、今日の営業も終了だ。


女性の声

「こっちらしいよ。」


女性の声

「遅くなっちゃったけど、まだやってるかな?」


女性の声

「あ、あれかな?」

徐々に声の集団が近付いてきた。

女性4人に男性1人の集団がやってきました。


「すいません。

今日のランチは売り切れてしまいました。」


女性

「あっ、やっぱりアキラ君だ!

久しぶり!

覚えてるかな?

マヒルなんだけど。」


「あっ!

お久しぶりです。

もちろん覚えてますよ。

今日はどうしたんで、、、」


男性

「・・・馬場君か?」


「ん?

・・・北条君?」


マヒル

「マサキもやっぱり異世界人だったの?」



あ~、

なんかややこしい話になりそうな予感。

マヒルさんは以前に会った同じ世界出身の女性だ。

北条君は元クラスメート。

確か魔族と戦って死んだって聞いてたんだけど、どうなってるのかな?


お店の前で延々と立ち話する訳にもいかないし、、、


「とりあえず店内へどうぞ。」


もう閉店間際だったから、空いている席に案内する。

お茶とお菓子を出す。

意外とちゃんとしているんですよ。


女性

「美味しい!

何このクッキー!」


女性

「ちょっと!

いきなり大きな声を出さないの。

はしたないでしょ。」


まずはマヒルさんがパーティーのメンバーを紹介してくれた。

Cランクの冒険者で王都にBランクへの昇格試験を受けに行く途中で寄ったらしい。


マサキ

「オレは色々あって、1人でさまよっていたところを助けてもらったんだ。」


「不動のエベレストに負けたって噂で聞いてたから、、、

北条君が生きていて良かったよ。」


マサキ

「マサキって呼んでほしい、、、

名字で呼ばれるとちょっと、、、」


なんか、雰囲気が凄く変わった気がする。

昔は、明るくて、爽やかで、生まれついてのリーダー、そんな感じだったのに。

今はなんか陰がある。


「じゃあ、僕もアキラで。」


マサキ

「アキラはなんか、雰囲気が変わったね。

頼りになるって言うか、

しっかりしているって言うか、

なんか大人になった気がするよ。」


「ありがとう。

マサキも雰囲気が変わったね。

前よりも、、、人間っぽくなった気がする。

僕は今の方が好感が持てるよ。」


自分でもたどたどしい会話だと思う。

でもさ、

数年ぶりに会った、たいして仲の良くなかったクラスメートなんて、こんなもんじゃない?


フェイ

「ねぇねぇ、

さっきのお菓子、

もう少しないかな?

私たち、街に着いたばかりでお腹ペコペコなんだよね。

ちゃんと代金は払うからさ。」


「お昼ごはんまだだったんだ。

他のお客さんも帰ったし、

なんでもいいなら、ランチ出すよ。

マヒルさんにはお店に来たら、ランチご馳走するって言ってたし。

1人も5人も一緒だよ。」


マヒル

「いいの!

やった!

アキラ君のごはんは本当に美味しいんだよ。」


「そこまで喜んでもらえると嬉しいな。

デザートもつけとくね。」


フェイ

「やった!!」


せっかくなので、元の世界を感じられるメニューがいいかな。

ラーメンと餃子のセット。

デザートはいちご大福。


マヒル

「サイコ~~~!」


アリシア

「変わったメニューだけど、

凄く美味しい。」


フェイ

「たまんない!

こんな美味しいの初めて!」


ルナ

「これは並ぶな、、、」


みんな喜んでくれた。


・・・マサキ泣いてるね。

うん、

話しかけていい雰囲気じゃないね。

パクパク食べながらポロポロ泣いてるよ。

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