使者たちとの別れ

僕たちは森を抜けた。

でも、そこに帝国軍は待ち受けていなかった。

僕の偽装工作がうまくいったのかな?


全員死んだって報告させたし、

戦った場所もかなり南にしたから、

普通なら最短でジプート連邦を目指したように見える。


アーサーさんが小声で、

「敵の気配はあるか?」


「なさそうです。」


アーサー

「わかった。

ありがとう。」


アーサー

「どうやら待ち伏せはなかったようですね。それぞれの帰国ルートを確認して、どう動くのか決めましょう。」


僕たちは集まって、それぞれの国に帰るまでのルートを確認した。

一部の国を除いて、大半はバレティアまで一緒に行くことになった。ジプート連邦もそのルートを選んだため、セージさんやデニムさんとの同行を希望したみたい。


スノーデン王国などはここで別れるらしい。


スノーデン王国の使者

「アーサー殿、

ここまで来られたのは貴方のおかげです。

本当に有難うございました。」


アーサー

「我々だけが頑張った訳ではございません。

スノーデン王国の猛者たちの活躍がなければ、ここまで来られなかったのは私も同じです。」


スノーデン王国の使者

「是非、落ち着いたら我が国に遊びに来てください。最大限の歓迎を致しますよ。」


アーサー

「楽しみにしておきます。」


互いに握手をしていく。

なんか、みんな仲良くなっているみたい。


吊り橋効果?

みんなで命がけの逃走。

寝食を共にして、友情みたいなのが芽生えているみたい。

一応、各国の有力者だから、それが仲良くなるのは良いことだよね。

特に反帝国の面では一致しているから、帝国は苦しくなるんじゃないかな。



そのまま、

特に問題もなく進むことが出来た。

しばらく進むと帝国兵の一団が接近してきた。緊張感が走る。


しかし、


帝国騎士

「馬上より失礼致します。

私はダイクーン様に使える騎士です。

レギンの魔の手から逃げてこられた各国の使者とお見受けします。

間違いございませんか?」


アーサー

「その通りだが、目的はなんだ?」


帝国騎士

「現在、カルマール様は非道を働くレギンから臣民を守る為に立ち上がられました。

それもこれもアーサー殿のおかげ。

各国の使者の方々が安全に帰国出来るように協力せよと指示を受けております。」


アーサー

「そうか。

カルマール殿の配慮に感謝する。

しかし、貴君がカルマール殿の配下との保証もない。緊急事態故、安易に信用出来ないことをご理解頂きたい。」


帝国騎士

「おっしゃることはごもっともです。

その警戒心があったからこそ、ここまでご無事で来られたのでしょう。

馬と馬車と食糧を用意しております。

それだけでも受け取って頂けませんか?」


アーサー

「カルマール殿の配慮に最大限の感謝を示す。」


ようやく、移動手段が確保出来ました。

カルマールさんやダイクーンさんは電撃戦を仕掛けるらしく、時間がないらしい。


使者たちは馬車に乗って、騎士たちは馬を利用した。馬が足りないので馬車はちょっとぎゅうぎゅうになっちゃったけど。



「じゃあ、

そろそろ僕は帰ってもいいかな?

ゲコはバレティアに到着するまで残しとくから、全滅はないと思うし。」


アーサー

「そうだな。

さすがにこれ以上拘束する訳にもいかないか。。。

帰ってもらってかまわん。

王宮に戻った後で報酬を振り込んでおく。

ありがとう。

今回の逃走劇も、アキラの力がなければ成功しなかっただろう。」


セージ

「私からも礼を言わせてくれ。

ありがとう。

感謝してもしきれない。」


「気にしないでください。

お仕事ですから。

でも、あんまり面倒なことに巻き込まないでくださいね。」


アーサー

「ああ、わかっている。

今回はペネロペが無理を言った。

基本的には料理人としての依頼しかしないつもりだ。

本当にありがとう。」


「アーサーさんが素直過ぎて気持ち悪いよ。

じゃあ、これで失礼しますね。」


僕はリターンポイントで帰宅した。

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