深夜の決戦
護衛の騎士たちは休憩中も鎧や武器を手放さない。
寝る時も、鎧着たまま座った状態で眼を閉じている。鎧ってさ、重いし、蒸れるし、動きにくいんだよ。
休憩中の騎士たちは寝たフリ。
警戒担当の騎士たちは気付かないフリ。
とにかく、
いつでも動ける準備は出来ている。
徐々に使者たちは眠りに落ちていく。
疲れてたんだろうね。
僕も疲れてる。
何事もなければ僕も寝ているよ。
そして、敵が動き出した。
暗殺者たちが距離を詰めてくる。
僕
「『星がきれいですね。』」
これが合図の言葉だ。
セージさんの顔が変わる。
タイミングを図る。
セージ
「抜刀!!
・
・
・
点灯!!」
僕は明かりをつける魔法を放つ。
フラッシュみたいに短時間に高出力で。
護衛の騎士たちは眼を閉じている。
しかし、夜の闇で目をこらしていた暗殺者たちには強烈な光に目を焼かれる。
暗殺者たち
「「「うわっ!?」」」
フラッシュの後は、継続的な光に変える。
夜の繁華街並には明るい。
襲う者と襲われる者。
それが逆転した!
セージさんの魔法が口火を切る。
そして、騎士たちが斬りかかる。
先制攻撃を成功させたのは護衛の騎士たちだった。暗殺者たちは3分の1を瞬く間に失った。
・・・いや、決定的なチャンスでもそれだけしか減らせなかったとも言える。
特殊な訓練を受けているのかな?
すぐに回復している。
セージさんの魔法も避けられる。
素早さが高い。
僕は強化魔法と弱体化魔法を発動する。
これでかなり有利に進められるはず。
でも、
セージ
「気をつけろ!
刃に毒が仕込んであるぞ!」
暗殺者の刃は不気味に輝いている。
これ、ヤバいやつ。
たぶん、即死系の毒。
まぁ、解毒は出来るけど。
スピードと隠密性がウリの暗殺者。
一撃でも当たればヤバい武器との相性が良い。
騎士たちの動きがどうしても防御中心になってしまう。かすり傷が致命傷になるとわかっているからね。
僕
「大丈夫ですよ~。
解毒薬がありますから。
死ぬ前に飲めば治せますよ。」
僕の声にみんなが反応した。
騎士たちは攻めの姿勢を取り戻す。
暗殺者たちが僕に狙いを定め、2人が接近してくる。
ナイフを投げてくる。
僕は上半身を動かして避ける。
その隙に暗殺者たちが距離を詰めてくる。
でも!
暗殺者
「グハッ!」
暗殺者が1人吹き飛ぶ。
デニム
「動きが読めれば、簡単なことだ。」
もう1人の暗殺者はデニムさんを警戒して足を止める。
デニム
「サンドイッチの礼はしないとな!」
デニムさんが僕を見ながらニカッと笑った。
カッコいい。
歴戦の勇士って感じ?
心に余裕があるんだろうね。
完全にこちら優位な状態で、セージさん、デニムさん中心に倒していく。
暗殺者たちが撤退を決めるのに時間はかからなかった。
だが、戦場から逃げ出せた暗殺者は6名。
30人近い人数で襲ってきたことを考えると、低い生存率と言わざるを得ない。
でも、暗殺に失敗したことが伝われば、次の手を打ってくるのは明白だ。
僕はダミーを残して、暗殺者たちを追いかける。バラバラに散った暗殺者たちが集合している。最初から集合場所を決めていたのかな?
暗殺者
「失敗だ。」
暗殺者
「我々の襲撃を予見していたとしか思えない対応だった。高度な探知能力を持った敵がいたとしか考えられん。」
暗殺者
「それに途中から我々の能力を下げられた。広範囲に敵味方を区別しながら弱体化魔法を放つなんて芸当、聞いたことがない。」
暗殺者
「各国の連れてきたスペシャリストがかみ合ったということか。」
暗殺者
「事実を陛下に報告する。その後は陛下の御判断に従うだけだ。」
僕
「う~ん、
素直に報告されちゃうと困るんだよね。
追撃されないように報告しといて。」
『操人』というスキルは成功率やその速度が魔力差に依存するらしい。
ベルも魔力が高かったからエルフを操れたんだろうね。
僕が暗殺者たちを操る。
報告内容を
『各国の使者、および護衛は全滅させた。』
に変更。
更に、戦闘場所を大きく南部方向に修正。
これで追撃部隊に襲われるリスクは下げられたかな。
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