帝国暗部

夕暮れ時。

森林地帯にて。


ジプート連邦の使者

「追撃は振り切れたのか?」


デニム

「安心は出来ません。

兵をまとめてどこかで決戦を狙うか、

疲れたところを夜襲するか、

まだまだ油断出来る状況ではありません。」


ジプート連邦の使者

「では、夜通し逃げ続けるのか?」


デニム

「それも無謀です。

戦える体力を残しておかないと、いざと言う時に戦えません。」


アーサー

「そろそろ休憩にしましょう。

もう限界でしょう。」


スノーデン王国の使者

「しかし、帝国兵に狙われんか?」


セージ

「さすがに一般の帝国兵が夜の森を進むことは出来ないだろう。

森を出てきたところを狙う方が効率的だ。」


アーサー

「数時間は休みましょう。

夜明けまでに移動を再開しましょう。」


どこかの国の使者

「良かった~、限界だったんだ。」


おじさんがドカッと座り込む。

他の人たちも限界だったみたい。


アーサー

「アキラ、何か食べるものはあるか?

みんなに食べさせたいんだが。」


「サンドイッチとホットミルクでどうかな?」


アーサー

「十分だ。頼む。」


今回はカツサンド、ハムサンド、ツナサンド、タマゴサンドの4種類。

人数が多いから全員を同じ種類にすることは出来ない。1人2個を適当に選んで食べてもらう。

ついでに大鍋にボゥのミルクとハチミツを入れて温める。

甘いホットミルクは気持ちが生き返るよね。


コップは足りないから使い回し。

潔癖症なんて言ってられない。


まだまだ危機的な状況には変わりないけど、みんな少し笑顔になっている。


スノーデン王国の使者

「マジックバックまで用意しているとは、アーサー殿の先見の明には恐れ入る。」


ジプート連邦の使者

「お腹が膨らみ、生気が戻ってきました。

これなら再び歩けそうです。」


アーサー

「ふふふ、もう少し休んでください。

まだまだ動けない方もいらっしゃいますので。」


デニム

「あのホットミルクは特別だな。

飲んだ瞬間に体に力がみなぎってくる。」


セージ

「この状況には最適でしょう。

使者の方々には休息して頂き、護衛で交代しながら見張りをしませんか。」


デニム

「そうだな。

私とセージ殿を中心に2チームに分かれて見張りをしよう。」


セージ

「では各国に、護衛を2つに分けてもらい、前半後半の担当としましょう。」


デニム

「先に休ませてもらってもいいか?」


セージ

「もちろんです。」



僕も前半チームになりました。

でも眠い。。。

ゲコに頑張ってもらおう。


正直、サンドイッチ2個じゃ足りないんだよな~。でもみんなの前で1人だけ食べる訳にはいかないもんね。




ゲコ

『かなりの数がいるな。』


「あっ、ホントだ。」


ぼ~としてたから気付かなかったけど、囲まれてるね。

全員が気配を消している。

けっこうな使い手だね。

隠密能力が高い人たちで構成されている部隊だ。


「セージさん、囲まれたけどどうしよう?」


僕が小声で話しかけると、


セージ

「気配を感じないが、、、

何人ぐらいいるんだ?」


「隠密能力高そうだからね。

30人近くいるよ。」


セージ

「30人もいて気配を感じさせないとはな。

もしかしたら、ドバン帝国の暗部かもしれん。」


「暗部?」


セージ

「暗殺の専門部隊だ。

帝国の最も恐れられる部隊の1つだ。」


「どうします?」


セージ

「もちろん、迎え撃つ。

アキラ、明かりをつけることは出来るか?」


「日中と変わらないぐらいの明るさに出来ますよ。」


セージ

「わかった。

私の合図で明るくしてくれ。

それと警戒も続けてほしい。

動きがあれば教えてくれ。

準備をする。」


「わかりました。」


とりあえず、セージさんの横で立っとく。

セージさんは部下に指示を出している。

こっそり気付いていないフリをしながら、情報を広げていく。

これで迎え撃つ準備は出来た。

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