大脱出

ジプート連邦の使者

「アーサー殿の情報通りでしたな。」


スノーデン王国の使者

「だが、この状況をどうするつもりだ。」


アーサー

「強行突破のみ!

セージ!」


セージ

「はっ!」


セージさんが火の塊を放つ。


ドーン!


轟音と共に兵士を吹き飛ばす。

それを合図に使者たちが一斉に出口を目指す。もちろん帝国兵も通すまいと遮る。


「「「うおぉぉぉぉ!」」」


議場の外からも戦う声が聞こえる。

この展開を予想して、部屋で留守番をしているはずの騎士たちも動いていたみたい。


デニム

「うおりゃ!」


砂漠の覇王の異名を持つおじいさん、デニムさんも暴れている。いつの間にか帝国兵の剣を奪ったみたい。


帝国兵たちは予想外の使者たちのまとまった行動と議場の外に早々に現れた援軍に混乱している。


混乱した一般兵と国の代表の護衛を任された精鋭。更に僕がこっそり強化魔法をかけ、ステータスを上昇させている。


議場の外にいた騎士たちも合流。

かなりの大所帯になったね。

これで武器も全員が装備出来た。


でも安心は出来ない。

なにせ、完全アウェイだからね。

ゆっくりしている時間はない。

城門目掛けて突進していく。


帝国兵も応戦してくる。

でも城門は外から中に入るのを防ぐために作られている。中から外に出るのを拒む造りにはなっていない。


しかし、帝国兵もねばる。

そりゃそうか。

でも、こんなところで時間を取られると完全に包囲されてしまう。


仕方ない。

帝国兵に弱体化の魔法をかけよう。

オールステータス2割ダウン。

急なステータスのダウンに帝国兵たちが戸惑う。そんな隙を見逃しはしない。


セージさんの魔法を突破口に突撃していく。

セージさんの魔法とデニムさんの槍。

やっぱり異名を持つ2人は別格だね。



だけど、、、

帝都は広い。

駆け抜けられるほど狭くはない。

それに各国の使者の中にはお年寄りもいる。

どうしても息切れしてしまう。


次々と帝国兵が襲ってくる。


「さすがに数を減らさないとキツイね。

ゲコ、頼んだよ。」


ゲコ

『承知。』


アーサーさんの影から出たゲコは屋根の上に陣取る。


ゲコ

『ケロケロケロケロケロケロ~~~』


ゲコの歌声を聴いた帝国兵たちが『混乱』の状態異常になっていく。


兵士たちが混乱し、同士討ちがあちらこちらで発生した。


アーサー

「どうやら帝国兵も混乱しているらしい。

この好機に距離を稼ぐぞ。」




なんとか帝都の一番外側にある城門が遠目に見えてきた。


デニム

「城門突破は容易ではないぞ。

策はあるのか?」


そりゃそうか。

絶対通る場所は守りを固めるよね。


アーサー

「こっちだ!

カルマール殿に聞いた抜け道だ。」


皇族しか知らない抜け道らしい。

事前に聞いてたんだって。


教会かな?

古い建物だ。

中は暗い。


アーサー

「これか!」


大きな絵画に駆け寄るアーサーさん。

絵画の裏にはポッカリ通路が開いていた。


スノーデン王国の使者

「罠ということはないのか?」


アーサー

「万が一罠なら、罠ごと突破してみせますよ!」


ジプート連邦の使者

「心強い言葉だ!」


隠し通路はちゃんと外までつながってました。カルマールさんは嘘つきじゃなかったね。

帝都近くの森の中でした。


アーサー

「まだ油断は出来ん。

このまま東に抜けるぞ。」


帝国兵もバカじゃない。

いつまで経って城門に来なければ、不審に思うよね。

どうやって城門の外に出たかは無視して、出てしまったことへの対応はしてくる。


僕たちへの追撃部隊が出された。

非戦闘員もいるし、地の利は帝国側にある。

すぐに追いつかれる。


でも、指揮系統が整ってないのかな。

散発的に追いついた部隊が攻撃を仕掛けてくる感じ。逃げる速度は上がらないけど、負けるほどじゃない。


このままなら、逃げきれそうかな。

でも、みんなで戦いながら歩いて逃げるのは遅いよね。

なかなか進まないな~。

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