怠惰を受け継ぐ者
少し時間を遡る。
アーサーさんとカルマールさんのやり取りをボケーっと聞いていると、
『怠惰レベル1を取得
暴食と色欲、強欲、嫉妬、憤怒が反応
暴食がレベル+1
色欲がレベル+1
強欲がレベル+1
嫉妬がレベル+1
憤怒がレベル+1
怠惰がレベル+5』
えっと、、、
前触れもなく大罪スキルを取得。
意味がわからないよ!?
基本的に大罪スキルは所有者を殺すことで引き継ぐことになる。でも僕は誰も殺していない。
『暴食 レベル6
飲食を行うとステータスが上昇する
食物による毒、食あたりなどを無効
料理ボーナス
愛情ボーナス
魂の捕食 強
色欲 レベル6
無制限にテイム可能 8体
進化限界突破
成長限界突破
強欲 レベル6
アイテムドロップ率100%
レア率逆転
アイテム進化
嫉妬 レベル6
スキル殺奪
スキル強奪
スキル習得 強
スキル合成
憤怒 レベル6
一時的にステータス上昇 50倍
怠惰 レベル6
対象のステータス上昇 大
対象の経験値取得量増加 大
対象の取得した経験値の10%を得る』
軽くパニックです。
既存のスキルもパワーアップしているみたいだけど、なによりも新規取得した怠惰だ。
説明を見る限り、他人を強くして、経験値を分けてもらい、自分は勝手にレベルアップって感じの能力だ。
しかも『対象』というフワッとした表現だけど、かなりの人数を指定出来そうだ。
確かに自分は何もせずに経験値が入ってくるなら怠惰という表現が合う気がする。
そして、なんとなくだけど、前の所持者がピンときた。
皇帝だ。
証拠は無いけど、確信している。
それはスキルとともに何か魂の残滓のようなものがあったのかもしれない。
たぶん、歴代の皇帝が引き継いできたんだ。
なんとなくだけどわかる。
たぶん、初代皇帝がこのスキルで成り上がったんだ。
そして、歴代の皇帝に引き継がれてきた。
それが途絶えたんだ。
僕がスキルを引き継いだからね。
皇帝は死んだ。
それも、自害だ。
追い詰められたからかもしれないけど。
でも殺されてたら、殺した人がスキルを手に入れてただろうからね。
そして、僕は、
「あ、え~っと、皇帝死んじゃったかも。」
って言っちゃいました。
カルマール
「何を言っているんだ?
冗談でも許されるものではないぞ!」
アーサー
「カルマール殿。
残念ながら、おそらく事実だ。」
セージ
「この会議の前夜に偶然亡くなったとは考えにくいですね。」
カルマール
「ちょっと待ってください!
何故、こんな話をいきなり信じられているんですか!?」
アーサー
「細かい説明は出来ないが、そういうスキルを持っていると思ってほしい。
それよりもカルマール殿は対応を考えた方がいいと思うぞ。」
カルマール
「事実確認をしないと。」
セージ
「そんなことをしていては機を逸しますぞ。」
カルマール
「・・・最悪を想定しなければなりませんね。私は宰相のダイクーンと共に城を出ます。陛下を殺したのがレギンだとすれば、各国の使者は服従か死かを選ばされることになると思います。皆さんも急ぎ避難を。」
アーサー
「我々のことは心配いらない。
緊急避難用の用意もしてある。
カルマール殿、生きろよ。」
カルマール
「お互いに。
また、お会いしましょう。」
慌てて部屋を出ていくカルマールさん。
セージ
「これからどうしますか?」
アーサー
「おそらくレギンは会議を開催するだろう。
会場に各国の使者が護衛2名だけで集まるんだ、そこを狙うだろう。
使者の身柄を押さえてしまえば他の護衛たちはまともに動けん。」
セージ
「効率を考えればそうするでしょう。」
アーサー
「我々は各国の使者を逃がせるようにするぞ。レギンの思い通りにはさせんぞ。」
セージ
「対策を考えましょう。
すべての国の使者を帝都から逃がすのはなかなか難しい作戦になります。
明日の朝までに策を練りましょう。」
アーサーさんとセージさんが今後の打合せを始めた。
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