セージの憂うつ
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今回はセージ視点です
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時間を少し遡る。
セージはため息をついた。
厄介なことになった。
アーサー殿下が国王陛下からの密書を持ってバレティアにやって来た。
その中身は、ドバン帝国に向かうアーサー殿下を護衛せよ、とのご指示が書かれていた。
事の発端はドバン帝国からの招待である。
ドバン帝国とは何度も戦ってきた。
敵国である。
それが急に関係改善の為、として招待してきたらしい。
罠の臭いしかしないな。
しかし、無視する訳にもいかない。
それにドバン帝国との関係が改善すれば、軍事的な負担は減り、経済的な交流は増えるというメリットがある。
そこでエドワルド国王陛下が指名したのがアーサー殿下だ。
エドワルド国王陛下の狙いが透けて見える。
国王陛下は支持基盤が弱い。
南部とは対立し、東部や西部も支持基盤と呼べるほどの関係ではない。
更にブルータスの反乱に呼応した人間を処罰したため、人材不足も深刻。
エドワルド国王陛下に国を運営出来るのか疑問視する声も出ている。
そんなエドワルド国王陛下にとって目の上のたんこぶがアーサー殿下だ。
新国王に不満がある連中が担ぎ上げかねない。しかも、ブルータスの反乱を鎮圧した功績もあり、また、兄であるエドワルド国王陛下に臣下の礼をとり王宮を明け渡したことで人気も高い。
本人は国王になるつもりはさらさらないようだが、人気の高い成年王族というだけで厄介な存在だ。
だが臣下の鑑と言われたアーサー殿下を冷遇することは出来ない。そんなことをすれば自分の首を絞めるだけだ。
そこに今回のドバン帝国からの招待である。おそらく罠だ。
そこにアーサー殿下を行かせる。
アーサー殿下が殺されたり、監禁されたりすれば、国民の敵意をドバン帝国に向けられる。共通の敵というのは国をまとめる上で有効な手段だ。
また、アーサー殿下がドバン帝国に有利な条約などを結ばされて帰ってくれば、アーサー殿下の人気は落ちる。結ばされた条約などは無効を主張すればなんとでもなる。
そして、その巻き添えをくったのが私だ。
エドワルド国王陛下は軍事的な面でも苦慮している。第3騎士団を解体したため、国内の戦力が落ちている。現在、第1騎士団が第3騎士団のやっていた仕事を兼任している状態だ。
そこで私をドバン帝国へ行かせて、殺されたり、監禁されたりすれば、自分の側近を第2騎士団の団長に置く。
第2騎士団はその特性上、安易に動かすことは出来ないが、第2騎士団の戦力を手中に治めていると知れわたるだけでも効果は大きい。
エドワルド国王陛下は厄介者をドバン帝国へ行かせて、自分は手を汚さずに排除しようとしている。
正直なところ、あまりにも見え透いた手段に辟易してしまう。
しかし、国王の命令を断れるはずもない。
アーサー殿下の配下と私の部下。
合計10名程度の少数でドバン帝国に入っている。
今のところは問題は起きていない。
馬車が2台。1台はアーサー殿下、もう1台は荷物を乗せている。その前後を私を含む騎士が護衛している。
どこで何が起きるかわからない。
アーサー殿下とも話をしたが、山賊のフリをしたドバン帝国軍に襲われる、という可能性がある。
ここはドバン帝国内部だ。
100や200の兵力を忍ばせるなど容易なことだ。警戒をしながら進んでいる。
「なっ!?」
今、馬車の中から妙な声が聞こえた気がする。聞き間違いかもしれないが、そんなことは気にしていられない。
部下に合図を送る。
馬を馬車に並走させる。
私は馬車の中に飛び込んだ。
それと同時に部下が馬車を停止させ、取り囲む。
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