食い逃げはダメ
ザバスさんに連れて行かれたのは街の衛兵の詰所でした。
牢屋にいるのはチーランさん。
僕
「チーランさん、どうしたんですか!?」
チーラン
「私にもわからないんだ。。。」
困った表情で項垂れるチーランさん。
それはそれで絵になるね。
僕
「ザバスさん、何があったんですか?」
ザバス
「食い逃げで捕まえたようです。
衛兵とも会話が噛み合わず、困っていたところ、アキラ様の名前が出てきたので、伯爵家に念のため、連絡が入った次第です。」
僕
「あっ、、、」
ザバス
「何か心当たりが?」
僕
「えっとですね。
チーランさんは昨日、ジャブル大陸の奥地のエルフの里からパエルモに来たところなんです。
そのエルフの里は基本的にすべて里の共有財産って扱いで、里にある物はなんでも自由に使ってよくて、、、
通貨もないようなところなんです。」
ザバス
「・・・なるほど。
なぜジャブル大陸の奥地からパエルモに1日で移動しているのか、
という点を除けば理解出来ました。
アキラ様、
彼の食べた代金と迷惑料込みで被害にあった屋台にお支払頂けますか?」
僕
「もちろん、お支払致します。」
ザバス
「それと、衛兵たちにも簡単な差し入れをお願い致します。
それで穏便におさめましょう。」
僕
「すいません。」
僕とチーランさんで頭を下げる。
ザバス
「状況はわかりましたが、まずは街で過ごす上での一般常識を教えてください。
さすがに何度もとなると穏便におさめることが出来ませんので。」
僕
「わかりました。
有難うございます。」
ザバスさんのおかげで穏便に終わりました。
チーランさんに聞いたら、
満腹亭を目指して歩いていたら、
屋台のおじさんに、
「どうだい、食べていかないか?」
と声をかけられたらしい。
チーランさんは屋台のおじさんから焼き豚串を受け取って食べたそうだ。
そこでお礼を言って、そのまま立ち去ろうとしたところ、屋台のおじさんに呼び止められて口論になったらしい。
僕
「人間の街では、何かを食べたり、服や道具を手に入れたり、そういったことすべてにお金がかかるんです。
無料で何かしてもらえることはほぼ無いと思った方がいいと思いますよ。」
チーラン
「申し訳ございませんでした。
通貨という存在は知っていたんですが、使ったことがなくて。。。」
僕
「エルフの里とは何から何まで違いますよね。すいません。僕も事前に気をつけておけば良かったんですけど。
とりあえず、多少のお金をお渡ししておきます。それでもトラブルになったら満腹亭のアキラを呼んで欲しいと伝えてください。
それと、街でのルールについては早めにコーチをつけますね。
覚えてしまえば、難しいことではないですから。」
チーラン
「有難うございます。
アキラさんに頼りっきりで申し訳ないよ。」
僕
「連れて来たのは僕ですから。
ちゃんとフォローしますよ。
さてと、みんな心配してたので、お店に無事の報告だけして農場に向かいましょうか。」
チーラン
「わかりました。」
僕
「ついでにベルを連れて行くよ。」
チーラン
「あの悪魔もですか?」
僕
「そうそう。
ちょっと試したいこともあるし、農場のメンバーにも紹介しとかないといけないしね。」
チーランさんはやっぱりベルが苦手みたい。
そりゃ、そうか。
もう少しで街を滅ぼされそうだったからね。
見た目が変わっても拒否反応はあるみたい。
チーランさんとベルを連れて飛行する。
実験農場も飛行ならすぐだよ。
馬車ならけっこう面倒な距離だからね。
でも、
チーラン
「感覚がおかしくなりそうです。
空なのに普通に立っていられて、鳥よりも速いなんて。」
ベル
『信じられない魔法能力だ。
かなり高度な結界魔法と飛行魔法の並行発動。それを平然とやっている。
信じられん。』
僕
「そんなに褒められると照れちゃうね。」
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