チーランの願い
チーラン
「アキラ様!
お願いがございます。」
考え込んでいたチーランさんが口を開いた。
なんか凄い熱量だ。
僕
「な、なんでしょう?」
チーラン
「このスープを作った料理人と会わせて頂けませんか?
これほどの料理人と料理をともに研鑽したいのです。
アキラ様、
連れて行ってください!」
僕
「えっと、、、
エルフって里を出るのは自由なの?」
モック
「特に規制はございません。」
僕
「そうなんだ。
でも、遠いですよ?」
チーラン
「かまいません!
我々エルフにとって、1年や2年の旅路など、あっという間です。」
さすがエルフ。
時間の感覚がぶっ飛んでる。
僕
「それじゃあ、、、
ちょっとやることがあるので10日から2週間ぐらい待ってもらえますか。
そしたら、出発しましょう。」
チーラン
「ありがとう!
君との出会いを作ってくれた神様に感謝するよ。」
僕
「そうだ。
出発までにチーランさんにお願いしたいことがあるんですけど。」
チーラン
「何かな?
なんでも言ってくれ。」
僕
「チーランさんが使っている野菜や果物なんかの種とか苗を集めてほしいんだ。
僕は料理に使う為に畑なんかもやってて。
そこで育てたいんだ。」
チーラン
「種や苗だね。
わかったよ。
アキラ様は相当優秀なマジックバックを持っているようだから、多少かさ張っても問題ないね。」
僕
「はい。」
チーラン
「ただ、植物は気候や土壌に大きく影響を受けてしまう。
ここの種や苗を持っていっても、同じ味にならなかったり、育たず枯れてしまう可能性も高いよ。
それでもいいかな?」
僕
「問題ありません。
実験的に他の地域の気候に似せて植物を育てる農場を作っています。
そこなら育てられると思います。」
チーラン
「凄いな!
食材の運搬は大きな問題だ。
どうしても劣化するから、運べる距離に限界がある。
それを料理の為に特殊な農場まで用意するなんて、君の料理に対する熱意には脱帽だよ。」
僕
「そこまで誉められると照れくさいですよ。」
チーラン
「それだけのことをしているんですよ。
わかりました。
この里周辺で手に入る種や苗を出来る限り用意しましょう。」
僕
「ありがとうございます。」
その後、チーランさんに別れを告げて家を出ました。ヨックさんモックさんにはその後も軽く街の案内をしてもらいました。
トマーシュさんから頼まれていた美術品も手に入った。
みんな趣味で作っているので、特に対価は求められなかった。特に、僕は街を救ったってことになっているから、どんどん無料で渡すと言ってくれた。
さすがに無料で貰うのは気が引けたので、貴金属、宝石なんかを色々プレゼントしました。物々交換だね。
みんな、目新しい貴金属や宝石に、創作意欲が湧いてくるって喜んでくれたから、良かったかな。
と、言うことで本日の予定は終了。
僕
「お2人とも今日はありがとうございました。」
ヨック
「アキラ様が守ってくださった街です。
それをご案内できて良かったです。」
僕
「明日にはダンジョンに出発しますので、街を出ます。」
モック
「そうですか。
アキラ様なら大丈夫だとは思いますがダンジョンは危険なところです。
ご無理をなさらないようにしてください。」
僕
「ありがとうございます。」
ヨックさんモックさんに用意してもらった部屋に入る。
外との交流がないので、もちろん宿屋なんてない。とりあえず空いている部屋を借りて、眠ることにした。
明日はダンジョンに出発だ。
ここからは近いらしい。
エルフたちもよく利用しているようだ。
外界との交流もなく、
農業、畜産業もせずに生活が出来ているのはダンジョンが近いことが要因のようだ。
ダンジョンの存在はエルフだけの秘密らしい。獣人たちはその存在を知らないらしい。まぁ、エルフの生命線だから仕方ないよね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます