封印の秘術

ベルゼブブが加速する。

凄まじいスピード。


ハイエルフたちは反応しきれない。

ベルゼブブが1人のハイエルフに一気に距離を詰める。


逃げられない。

カバーも間に合わない。

闇が炸裂する。


ハイエルフが吹き飛ぶ。

死んではいなさそうだけど、大ダメージだろう。


ベルゼブブ

『まずは1人。』


ベルゼブブがニヤリと笑う。


ハイエルフ

「なめるなよ。」


ハイエルフたちが一斉に魔法を放つ。

足を止めたベルゼブブにハイエルフの魔法が殺到する。


しかし、


ベルゼブブ

『止まって見えるぞ!』


ベルゼブブは両手に闇の塊を生み出し、

ハイエルフの魔法を弾きながら駆け抜ける。


そして、

ぐんぐん加速し、1人のハイエルフに迫る。


ベルゼブブ

『終わりだ!』


ハイエルフ

「お前がな。」


ベルゼブブを目の前にハイエルフが強い魔力を放つ。それに呼応して、残り4人のハイエルフも強い魔力を放つ。

ハイエルフたちは魔力を放ちながら、ベルゼブブを包囲するように移動した。


ハイエルフ

「我らが封印の秘術、

とくと味わえ!」


ベルゼブブの目の前に1人、

包囲するように4人、

5人の放つ魔力の奔流がベルゼブブを包み込む。


しかし、ベルゼブブも必死に抵抗する。

拮抗する魔力。


ハイエルフ

「防げるものか!」


ハイエルフ

「今度は1000年ぐらい眠っていろ!」


ハイエルフたちは魔力を注ぎ込む。


ザッ!


ハイエルフの1人がエルフに斬られた。


ハイエルフ

「なっ!?」


ハイエルフを斬ったエルフはそのまま次のハイエルフを狙う。


ハイエルフ

「何をしている!?」


ハイエルフ

「ベルゼブブに操られているのか!」


ハイエルフ

「くっ」


ハイエルフは封印の秘術の最中で身動きが取れない。


ザッ!


もう1人、ハイエルフが斬られる。


そこに、ようやくエルフ3人が駆けつけ、操られているエルフを取り押さえる。


しかし、2人のハイエルフが倒れたことで封印の術式が歪に歪む。

それを見逃すベルゼブブではない。

ベルゼブブは封印を撃ち破り、外に出てしまった。


ベルゼブブ

『クククク、ハーハハハハ!

戦いとは何手も先を読むものだ。

お前たちが封印魔法を使うのはわかっていたんだよ。

その時の為に、操り人形を潜ませていたのさ。』


ハイエルフ

「はー、はー、はー、

まさか封印の秘術が破られるとは、、、」


ハイエルフ

「はー、はー、はー、

卑怯な手を使って、、、」


ハイエルフたちの息があがっている。

消耗が激しそうだ。


ベルゼブブ

『400年間進歩しないお前たちでは私には勝てんよ。既に一度見せた切り札など、無意味だということがわかっていないようだな。』


確かに強力な封印魔法だけど、封印を完成させるのに時間がかかるし、その間術者は無防備になる。

ベルゼブブはエルフの手駒を用意しておき、ハイエルフが封印魔法を使用したら邪魔をするように命令していたんだろう。


ハイエルフの消耗は激しそうだ。

息も乱れている。

しかも開戦当初は6人いたのに、

残りは3人。


勝敗は決したと見て間違いないだろう。


ベルゼブブ

『ククク、悔しいか?

だが、自業自得だ。

いずれ私が封印から出てくることはわかっていたはずだ。それをわかっていながら、無為無策に時間を消費したお前たちが悪いのだ。

恨むなら、自らの無能さを恨むんだな。

ハーハハハハ。』


高らかに笑い声をあげながらベルゼブブは右手に魔力を集中させる。


ハイエルフ

『この程度で勝ったと思うなよ。』


ハイエルフ

「我らの秘術は封印だけではない。

魔道の真髄を見せてやろう。」


ベルゼブブ

『負け惜しみか。

ククク、残念だよ。

お前たちの負け惜しみがもう聞けなくなるのが。負け惜しみの続きはあの世で言っていろ。

死ね!』


特大の闇の槍がハイエルフに迫る。

ハイエルフも負けじと岩の槍を放つ。


双方がぶつかる。

あっさりと岩の槍が打ち砕かれる。

岩の槍の強度不足だ。

魔力不足。


ハイエルフ

「これまでか、、、」

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