エルフの里

「えっと、、、樹牢ってなんですか?」


エルフ

「安心しろ。

いきなり殺したりはしない。」


エルフ

「だが、自由に里を歩き回らせる訳にもいかない。」


エルフ

「ハイエルフ様の判断を待て。」


「ハイエルフ様って?」


エルフ

「人間が知る必要のないことだ。」


エルフ

「ヨック、モック、

樹牢に連れて行き、事情聴取をしておけ。」


ヨック・モック

「「わかりました。」」


ヨック、モックと呼ばれた2人は少し違和感があった。見た目は他の人と同じエルフなんだけど、なんか雰囲気が違う。

なんだろう?


とりあえず2人におとなしくついて行く。

ヨックが女性、モックが男性だ。

ただエルフはみんな美形で、中性的な雰囲気だから性別はわかりにくい。


樹牢。

そのまんまでした。

大きな木の根っこの部分の空間を利用した牢でした。

メイスとマジックバックを預ける。

さすがにマジックバックを勝手に開けられるのは困るので結界で封印する。


樹牢に入ると、


ヨック

「人間、名前は?」


「アキラです。」


ヨック

「なぜエルフの里に侵入した?」


「ごめんなさい。

侵入したつもりはなかったんです。

普通に入口から入っただけだし。」


ヨック

「エルフの里に何をしに来た?」


「ティモンでエルフの隠れ里の話を聞いたから、一度見てみたいと思って。」


モック

「ん?

ここは隠れ里じゃないぞ。」


「へ?」


ヨック

「エルフの隠れ里はもっと北側にある。

ここはエルフの里で別物だ。」


「へ???

ここ、違うの?

入口も隠してあったから、

さすが隠れ里って思ったのに。」


ヨック

「隠れ里はもっと小さいし、獣人たちの集落に近い。あちらなら村に入っただけで捕まるようなことはない。」


モック

「隠れ里は他の種族との交流の窓口になっています。でもこのエルフの里はエルフ以外が入ることは認めていません。」



・・・トリッキー過ぎるよ。

隠れ里がオープンで誰でも入れて、

里は侵入禁止。

そんなの初見でわかる訳ないじゃん。


でも、今のやり取りで僕がここに来た理由は理解してくれたみたい。


「これからどうなるんですか?」


ヨック

「現在、ハイエルフ様に判断を仰いでいる。

どのようなご指示をされるかは私にはわからない。それまで、ここで待て。」


「仕方ないね。」


強制退去とかかな。

残念だけど、仕方ない。

少し待つしかないか。


モック

「たぶん、知らないと思うから言っておくけど、ハイエルフ様は普通のエルフ以上にゆったりされている。

最低でも指示が出るまで数日は覚悟する必要があると思っておいて。」


「えっ!?

数日も!」


ヨック

「長ければ年単位やもしれん。」


「えぇ!?

年単位!」


モック

「ハイエルフ様はそういう存在です。

諦めてください。」


「さすがに諦められないですよ!

すぐに里を出ていくから、許してよ!」


ヨック

「我々には決定権がない。」


モック

「言うだけ無駄ですね。」


「そんな~~~」


ヨックさん、モックさんと会話をしていると1人のエルフが走ってきた。


エルフ

「行方不明になっていたユーハイムが帰ってきたぞ。」


モック

「無事だったんですね。良かった。」


ヨック

「様子を見に行きましょう。」


樹牢の鍵を締めて、エルフたちが走り去っていく。

その時、モックさんの帽子が脱げた。

モックさんは慌てて帽子をかぶりなおし、走り去ってしまった。



・・・見えた。

モックさんの頭にはケモ耳があった。

ヨックさんも姉ならケモ耳があるのかな。

おそらくエルフと獣人のハーフなんじゃないかな。



そんなことより!

これからどうしよう?

深夜にこっそり抜け出すのが無難かな。

さすがに何年もここで暮らすとか、あり得ないし。

樹牢には魔法を阻害する効果が設定されているけど、僕なら十分突破出来ると思う。

そこまで強い効果は無さそうだからね。


静かに夜を待とう。

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