ジランの太鼓判

海は確かに深かった。

これなら大型船も進みやすいだろうね。

ゲコが調べてくれたエリアの海底に沈没船があった。


そこまで大きな船じゃない。

おそらくハンドル群島からティモンに来る船だったのかな。

積み荷はほとんど残っていない。

流されたのか、朽ち果てたのか、、、

少しだけ残ってたからマジックバックに入れておこう。


船内はアンデッドの巣になってました。

すべて浄化。

それほど強い相手じゃなかったから、すぐに浄化は終わった。

これがおばけカラスを呼び寄せたのかもしれない。

まぁ、船内もキレイになったし、これでアンデッド系の発生は大丈夫かな。




陸に上がると、ジランさんが心配そうに待ってました。


ジラン

「大丈夫でしたか!?」


「大丈夫です。

やっぱり沈没船でしたね。

浄化しといたので、アンデッドはもう出てこないと思いますよ。」


ジラン

「この短時間でそこまで、、、」


「積み荷の一部が残ってました。」


僕はマジックバックから取り出す。


ジラン

「マジックバック!

・・・これは、、、

おそらく3年前に沈没したバミダ商会の船ですね。ティモン目前で行方不明になり、当時は話題になりました。」


「そうなんだ。

まぁ、これでグルラさんからの依頼は完了でいいかな?」


ジラン

「もちろんです。

今日の夕食と宿も手配しておりますので、後程ご案内致します。」


「ホント!

助かります。

ありがとうございます。」


ジラン

「想定していたより、非常に早く解決しましたので、もう少し街をご案内致しましょうか?」


「ありがとうございます。」



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


その日の夜。

グルラの屋敷にて。


グルラ

「アキラはどうだった?」


ジラン

「今すぐスカウトするべきです。

凄まじい魔術師でした。」


グルラ

「詳しく聞かせてくれ。」


ジラン

「おばけカラスの討伐では、

飛行魔法を使いながら、

カラスを結界魔法で閉じ込めつつ、

更に強力な光魔法で一掃しました。

3つの魔法を同時に発動。

しかも、すべて強力な魔法です。

あり得ません。」


グルラ

「ククク、それで?」


ジラン

「即座に海底にある沈没船を発見。

おそらく結界魔法で自分を覆いながら海中に入って行き、すべて浄化したようです。

しかも、姿は見せませんでしたが、おそらく強力な従魔がいるようです。

これだけの魔法が使える上にテイマーでもある!

こんな人間、見たことありません!」


グルラ

「普通なら夢でも見たのかと言いたくなるような報告内容だな。」


ジラン

「すべて事実です!」


グルラ

「わかっている。

そもそも、アキラがこの事務所に来た時、ティモンにちょうどいいタイミングで到着した船がないんだよ。

もしかしたら、って思っていたが。

おそらく、空を飛んで来たんだろうな。」


ジラン

「あの方ならあり得ます。

なんとしても雇いましょう!」


グルラ

「やめておけ。」


ジラン

「なぜですか!?」


グルラ

「ガウルの紹介で来ているんだぞ。

ガウルがスカウトしないはずがない。

国王が誘っても仕えない男が、簡単になびくかよ。」


ジラン

「た、確かに。」


グルラ

「だが、

市場の食い物とかに目を輝かせてたんだろ。

なら、その窓口になって、良好な関係を続ければいい。欲を出せば逃げられるぞ。」


ジラン

「おっしゃる通りですね。」


グルラ

「どうせ、ティモン以外も行くんだろ。

ティモンを出る前に俺のところに顔を出すように伝えてくれ。

紹介状を渡す。

エルフやドワーフ以外なら俺の名前も効果があるだろ。」


ジラン

「承知しました。

では、アキラさんに明日の朝、伝えておきます。」


グルラ

「おう、任せたぞ。

ついでに、

アキラはマジックバック持っていたんだろ。

売ってもいい物があったら買取させてもらえ。船で運んだ荷物より良い安く買えるだろ。」


ジラン

「わかりました。

それも相談してみます。」

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