おばけカラス

市場は面白い!

見たことのない食材がいっぱいあった。

基本的に栽培しているのは芋だけ。

キャッサバみたいなの。

他の野菜や果物は森で採れるんだって。

年中青々と繁ったジャングルは豊かな恵みを与えてくれるらしい。


市場に並ぶ量は少ない。

自分たちで食べる量よりも多く収穫出来た野菜や果物を市場でお金に変えているらしい。

元から市場で売る為に作っている訳じゃないから、不揃いだし、何が並ぶかも、その日次第。

とりあえず気になった物から順番に買い込んでいく。お金はあるからね。

通貨を使えるようにしてくれたグルラさんに感謝だね。



ジランさんは市場を案内しながら、色々教えてくれました。博学です。

何が輸出に使えるか、それを調べる為に勉強したんだって。

どうしても長い船旅になるので輸出品として使える食品は限られるらしい。


昼ごはんはジランさんのよく行くお店だそうです。

タコスのイメージが近いかな。

ただ、肉の代わりにサバのフレークが入っている。ピリ辛で美味しかったです。

他にもフムスみたいなのがありました。

豆で作ったディップソースみたいな感じ。

これも香辛料がほど良く効いてて美味しかったです。


「じゃあ、大桟橋に行きましょうか。

これでおばけカラスを退治しなかったら、グルラさんに怒られちゃいますよね。」


ジラン

「承知しました。

準備はよろしいですか?」


「大丈夫です。」




ジランさんに連れられて工事中の大桟橋へ。

まだ途中だけど、大きな桟橋が作られている。確かにこれが完成すれば大型船は泊めやすいだろうね。


ジラン

「あちらです。

かなりの数がいます。

おばけカラスは強い相手が来るとすぐに空に逃げてしまいます。しかもゴーストタイプなので物理攻撃は効果が半減します。

お気をつけください。」


大桟橋の上空に大量に飛んでいる。

なかなか多いね。

40~50羽ぐらいかな。


「じゃあ、行ってきます。

危ないんで、ジランさんはここで待っていてください。」


ジラン

「承知しました。」


僕はスッと空に舞い上がる。

そして、おばけカラスの群れに向かって飛んでいく。

面倒なので大きな結界で包み込む。

そして結界を小さくしていく。

ある程度小さくしたら、光属性の魔法で一掃する。

簡単だね。


おばけカラスを倒すと大量にドロップアイテムが落ちてきた。

ほとんど投げナイフだね。

結界をそのまま小さくして回収。



う~ん、

違和感がある。

大桟橋にゴーストタイプの鳥モンスターが大量発生って不自然だよね。

そう思って周囲の気配を探ると海中に不自然な反応があった。


「ゲコ、あの辺りを調べてくれる。」


ゲコ

『承知』


ゲコが姿を現すこともなく、海中に向かった。



ジラン

「凄まじい魔法でした。

討伐ありがとうございます。」


「あ、いえ、たいしたことないですよ。

モンスター自体は弱かったんで。

それと、海中に不自然な反応があったんで少し調べてます。」


ジラン

「海中に不自然な反応ですか。

どうやって調べますか?

この桟橋の辺りは海岸からすぐに深くなっているので、調べるのはなかなか大変かと思います。」


「大丈夫ですよ。

すぐに調べられますよ。」


ゲコは姿を消したまま声だけで


ゲコ

『沈没船があった。それが原因だろう。』


ジラン

「な、何ですか、今の声はっ!?」


「ゲコ、ありがとう。僕が潜ってみるよ。

ジランさん、大丈夫ですよ。

僕の従魔です。

それよりも沈没船があるみたいなんで調べてみます。」


ジラン

「え、あっ、え、、、

沈没船の捜索は大変な作業ですよ。

どうするおつもりですか?」


「大丈夫だと思います。

ちょっと見てくるんで、

待っててください。」


僕は結界を張り、そのまま海に突っ込む。


ジラン

「エエッ!?」

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