百獣会
僕
「それって、、、交渉なんですか?」
グルラ
「綺麗事だけじゃ、話は進まねぇよ。
理屈の通じないヤツは拳で黙らせた。
くだらん屁理屈を言うヤツも拳で黙らせた。
そんなこんなをやっているうちに、各部族の若い連中の中に、俺に賛同するヤツが出てきた。
それで組織したのが『百獣会』だ。」
なるほど。
元々、このジャブル大陸には街と呼べるようなものはなかった。
部族単位で集落を作って、それぞれの交流もほとんどない状態だったみたい。
そんな状態から、部族の垣根を超えて、若者が貿易の拠点として整備したのがティモンの街ってことらしい。
貿易の拠点で貿易を取り仕切っているなら、ほとんど王様状態じゃん。
グルラ
「ところで、アキラ。
その首からぶら下げてるのは牙の戦士の証だよな。」
僕
「そうですよ。」
グルラ
「やっぱりな。
その実力を見込んで頼みたいことがあるんだが、聞いてくれるか?
もちろん報酬は出す。」
僕
「内容を聞いてから、受けるかどうか判断していいなら。」
グルラ
「ありがとう。
それでかまわん。
実はな、
現在、大桟橋を建設中でな。
これが完成すれば大型船も停泊しやすくなる。そうなれば交易は益々盛んになるんだ。
ただ、建設がストップしていてな。
『おばけカラス』ってモンスターが大量発生してな。工事が出来ないんだ。」
僕
「でも、グルラさんなら倒せるんじゃないですか?グルラさん、相当強いですよね。」
グルラ
「戦えば勝てる。
だが、賢いモンスターでな。
俺が近付けば上空に逃げるんだ。
賢くて、空が飛べて、おまけにゴーストタイプだ。近接物理攻撃メインの俺とは相性が最悪だ。俺の部下もほとんど俺と同じ状況なんだ。代わりに倒してもらえないか?」
僕
「いいですよ。
報酬は僕の希望を言っていいですか?」
グルラ
「金額交渉か?」
少しグルラさんの眼が鋭くなる。
僕
「いいえ。
僕、本業は定食屋の経営なんです。
だから、その土地その土地の食べ物とか、料理に興味があって。
報酬は、そういうのを仕入れるのに便宜を図ってほしいです。お金はいりません。
もちろん仕入れる時はお金をちゃんと払いますよ。」
グルラ
「そんなことでいいのか?」
僕
「僕にとっては大事なことです。」
グルラ
「わかった。
その条件でオーケーだ。
いつ倒しに行ける?」
僕
「昼ごはん食べてから、倒してきますよ。」
グルラ
「そうか。
話が早くて助かる。
うちの若いのを1人つけよう。
ここは人間はほとんどいないから、1人で歩いているとトラブルに巻き込まれるかもしれんしな。
街の案内なんかもしてもらってくれ。
昼メシも何軒か知っているだろう。」
僕
「助かります。」
案内してくれるなら心強いね。
グルラさんが扉を開けて大きな声で、
グルラ
「ジランを呼んでくれ~!
少し待ってくれよ。」
しばらく待つと、
コンコンコン
ジラン
「ジランです。」
グルラ
「入れ。」
入って来たのはキリンの獣人。
背が高い。
たぶん、2メートル10~20センチぐらい?
むちゃくちゃ見下ろされている感がある。
グルラ
「ジラン。
こっちはアキラだ。
俺の客だ。
街を観光させてやってくれ。」
ジラン
「承知しました。」
グルラ
「昼メシ食った後に『おばけカラス』を退治してくれる。午後に大桟橋まで連れて行ってくれ。」
ジラン
「承知しました。」
グルラさんがこっちを向いて、
グルラ
「と、言うことだ。
頼んだぞ。」
僕
「わかりました。」
僕はジランさんに連れられてグルラさんの屋敷を出た。
ジラン
「何かご希望はございますか?」
僕
「市場とかあるのかな?
見てみたいんだけど。」
ジラン
「ございますよ。
ただ、普通ですよ。
それほど面白いものではありませんよ。」
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