百獣のグルラ
僕
「あの~、
グルラさんって知りませんか?」
獣人
「あん? グルラ?」
獣人
「もしかして、百獣のグルラか!?」
僕
「百獣のグルラ?」
ガウル国王の従兄弟だとしたら、イメージにピッタリだね。
獣人
「グルラとどういう知り合いなんだ?」
僕
「グルラさんの親戚と仲良くしてて。」
獣人
「どうする?」
獣人
「どうするもねぇよ。
グルラの知り合いに手なんか出せねぇよ。」
獣人
「確かにな。」
グルラさんってどんな人なんだろう?
ゴロツキ風の獣人が完全にびびってるよ。
僕
「グルラさんにはどこに行けば会えますか?」
獣人
「あっちにあるデカイ建物にいるんじゃないか?あれがグルラの屋敷だからな。」
僕
「ありがとうございます。」
ゴロツキ風獣人4人組はそそくさと去って行った。
教えてもらった建物はすぐにわかった。
明らかに大きいし、門番なのかな?
黒服の2人が立っている。
明らかにいかつい。
反社会的団体って雰囲気がプンプンしている。組事務所って感じ?
さっきのゴロツキ風とは全然違う。
本物感がある。
まぁ、いきなり襲ってきたりはしないだろうし、それに襲われても負けないしね。
元の世界では考えられないよね。
そんなことを考えながら近付いていくと、
黒服
「何か用か?」
僕
「グルラさんとお会いしたくて。」
黒服
「ボスのお知り合いですか?」
僕
「初めてなんですけど、紹介状は持っています。」
僕はテッドさんに用意してもらった紹介状を差し出す。
黒服
「失礼。」
黒服さんは紹介状を受け取り建物の中に。
しばらく待つと戻ってきた。
黒服
「こちらへ。
ボスがお会いくださるとのことです。」
僕
「ありがとうございます。」
黒服さんに連れられてグルラさんの部屋に到着。
黒服
「失礼致します。お連れしました。」
「お通ししろ。」
部屋に入ると、グルラさんがいた。
ガウル国王と見た目は似ている。
ライオンの獣人だ。
ただ、少し細い。
ガウル国王がプロレスラー、
グルラさんはプロボクサー、って雰囲気。
グルラ
「お前がアキラか?」
僕
「そうです。」
グルラ
「そうか。
まさか、
あのガウルの娘から手紙が届くとはな。
ガウルたちは元気にやってるか?」
僕
「元気過ぎて困るぐらいです。
ガウル国王に紹介状を頼んだら、
『紹介状が欲しくば俺と闘え』とか言われそうな感じです。」
グルラ
「ハッハッハッ
変わらないな、アイツは。
あんな武闘派で国王やってるんだから、まわりは大変だろうな。
少しパウロのことを聞かせてくれるか。」
僕
「はい。」
ガウル国王のこと、
テッドさんとキララさんのこと、
そんな話をしました。
グルラさんは見た目はいかついけど、フランクで、僕が喋りやすいように、うまく質問とかを挟んでくれる。
グルラ
「俺も国を出て20年ぐらいになる。
キララが産まれたことは手紙で知っていたが、立派に成長しているんだな。
ガウルも当時は王子だったが、立派に王様をやっているようで安心したよ。
懐かしい話を聞かせてくれた礼だ。
何か困ったことがあったら言ってくれ。
力になるぞ。」
僕
「ありがとうございます。
ちなみに、グルラさんって何をしている人なんですか?」
さすがに反社会的な人だったら、頼るのはまずいよね。この世界だったらいいのかな?
グルラ
「ハッハッハッ
怪しいことはしてねぇよ。
交易の元締みたいなことをしている。
元々、この大陸はすべて部族毎に行動して、交流も何もなかった。
通貨もなかったんだぜ。
だから、ハンドル群島から来た商人にいいカモにされてたんだ。
何の知識もないからな。
貴重な物を二束三文のゴミみたいな物と交換してたりな。
それで、俺が元締になって、
物々交換から通貨でのやり取りに変えて、
港も整備して、
いろんな部族の輸出品を集めて、
輸入品も俺が一括購入して、
それを分配して、
ハンドル群島の商人とも交渉して、、、
ようやく、ティモンも街と呼べるぐらいに整ってきたんだ。」
グルラさんは凄い人でした。
未開の地を整えて、街にしていくのは大変なことだったと思う。
特に保守的で閉鎖的な人たちを説得するのは並大抵のことじゃないだろうね。
僕
「でも、よく、いろんな部族を説得出来ましたね。」
グルラ
「おう。
だいたいは拳での交渉だったな。」
それって交渉???
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