末路
カーン
「この度はご協力ありがとうございました。」
僕
「こちらこそ、問題を解決して頂いてありがとうございます。」
後日、商人ギルドの応接室にて。
僕
「でも、結局何がどうなったのか、よくわからないんだけど?」
カーン
「ウォーレンは依頼未達成の違約金で大量の借金を抱えました。
残念ながら、彼の資産では支払いは出来ませんし、彼にそれだけのお金を貸す人間もいないでしょう。
ウォーレンは経済奴隷となり、アキラ様への違約金の支払いに追われることになります。
違約金の支払いを延滞していますので、延滞金も発生します。
奴隷として普通に働いて返そうと思ったら、20年はかかるでしょうね。
その間は悪さも出来ないでしょう。」
20年間奴隷として働き続ける。
カーンさんってやることがえげつないね。
この世界、奴隷の寿命は長くない。
奴隷だと、食生活も医療も十分とは言えないからね。おそらく人生の大半を奴隷として過ごすことになるんだろうね。
悪どい商売をしていたツケがこれか。
僕
「でも、ウォーレンがコロットクルミやピヨ豆の正規品を揃えてたらどうするつもりだったんですか?」
カーン
「ハハハ、その可能性は低いですね。
彼はズル賢い男だ。
それに、正規品を買いそろえるのは彼の資産を考えると苦しいってことはわかっていましたからね。」
ギルドカードは銀行口座みたいな物だから、ギルドはその気になれば、いつでも資産が見られるってことか。
僕
「なるほどね、、、
カーンさんを敵に回さないように気をつけないといけないですね。」
カーン
「私もアキラ様とは共存共栄していきたいと思ってますよ。」
僕
「共存共栄ね~。
確かにカーンさんはいろんな人から感謝されるでしょうね。
今回、ウォーレンに買わせたのって、すべて不良在庫でしょ。」
カーン
「ご名答です。
王都には各地から食材が運ばれてきます。
しかし、その運搬過程でどうしても不良品などが出てしまうんです。
不良品は家畜のエサに使うのが殆どで、大きな損失になっているんです。
それがかなり消化出来て良かったですよ。」
結局、ウォーレンはカーンさんの手のひらの上で転がされただけだよね。
僕
「万が一、ウォーレンが正規品を買ってたら、どうしたんですか?」
カーン
「ハハハ、
どうなったんでしょうね~。
もしかしたら、知らない間に不良品が混じっていたかもしれませんね。」
僕
「ハ、ハハ、ハ、
不良品は知らない間に入っちゃうことはありますよね。」
絶対、ヤバい人だ。
ウォーレンがどう動いても結果は一緒だったんじゃないかな。
カーンさんに狙われたら最後って感じ?
カーン
「ウォーレンからは、満月亭の予約をいつ入れたのか調べています。転売済はもう仕方ないですが、まだ販売していない日程はキャンセルになりますね。」
僕
「そうですね。
早めにわかると有難いですね。」
カーン
「実は相談なんですが、
ウォーレンがまだ転売していない予約を商人ギルドに頂けませんか?
私含めて食べに行きたい人間が沢山いるんですよ。」
僕
「やっぱりカーンさんは商売上手ですね。
うちはちゃんとお客さんが来てくれたらそれでいいんで。
カーンさんも是非食べに来てください。」
カーン
「楽しみにしていますよ。
なかなか予約が取れませんからね。
それに、空いた予約を募ることで、ギルドの会員にも満月亭を相手に悪さをすれば大変なことになると周知出来るでしょ。」
僕
「やっぱりカーンさんはすごいね。」
カーン
「いえいえ、滅相もありませんよ。」
うん、
カーンさんとは仲良くしよう。
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