食材調達

エマさんってすごいな~。

ウォーレンが来た時、僕は緊張して上手くしゃべれなかったけど、エマさんは自然体だった。カーンさんの指示通り、追加の依頼をした。


ぶっちゃけ、

オルク麦もコロットクルミもピヨ豆も集めていない。多少ならお店に在庫はあるけど、それで十分だ。



そして、依頼した品を受け取る日が来た。

今日は僕とエリオさん、それとギルド職員のおじさん。けっこう強面。

受け取り場所はウォーレンが借りている倉庫だ。

薄暗い倉庫に袋が山積みになっている。


ウォーレン

「ようこそ。」


「すごい量ですね。」


ウォーレン

「苦労して集めましたからね。

では、依頼達成の書類にサインをお願いします。」


エリオ

「お待ちください。

依頼の達成は量と質を確認してからです。」


ウォーレン

「おっしゃる通りですね。

1つの袋に10キロ入っています。

数を数えれば量をきっちり揃えていることは確認出来るでしょう。

品質はどれかランダムにチェックして頂ければ、ご安心出来ると思いますよ。」


エリオ

「では、チェックに入りましょう。

明るさは足りますか?」


職員

「暗くてわかりにくいですね。」


エリオ

「では、アキラ様、お願いします。」


僕は魔法の光を庫内に灯す。

外と同じくらい明るいよ。


職員

「ありがとうございます。

では、行いましょう。」


ウォーレン

「どうぞ。」


ウォーレンが1つの袋を差し出してきた。

職員さんがチェックする。


職員

「品質に問題は無さそうですね。」


ウォーレン

「じゃあ、契約を!」


エリオ

「あなたの用意した袋をチェックしただけでしょ。もう少し調べないと。

アキラ様、お願いします。」


僕は結界魔法の応用で手前の山をすべて持ち上げ動かす。


奥の、しかも下の方から1袋取り出す。

結界で固めているので、抜き出しても山が崩れる心配はない。


ウォーレン

「なっ!?」


袋は開けた瞬間、素人でもわかるくらいカビがはえていた。


職員

「こりゃ、ダメだ。

こんなの食べたら病気になるぞ。」


エリオ

「なるほど。

では、ウォーレンさん。

あなたへの依頼は未達成。

違約金の支払い、ということになりますね。」


ウォーレン

「ちょっと待てよ!

苦労して、こんだけ集めたんだぞ!

それを未達成ってどういうことだよ!

少しカビがはえていただけだろ!」


エリオ

「依頼内容をちゃんとお読みください。

『品質を確保出来なかった場合は依頼は未達成とする。未達成の場合、依頼報酬と同額の違約金を支払う。』

そう記載されていますよ。」


ウォーレン

「そんな、、、

そうだ。

誰かが俺をハメようとして、粗悪品とすり替えたんだ。

そうに違いない!」


エリオ

「そんな話に興味はありません。

引き渡し日に必要な品質で、必要な数を揃えられなかった。

それだけです。」


ウォーレン

「そんな、、、

なんで俺が違約金まで。」


エリオ

「契約とはそういう物です。」


ウォーレン

「いいや!

お前ら、品質に難癖をつけて違約金をせしめようって魂胆だろ。

そこのおっさんが検査しただけだ。

納得出来ねぇ。

俺の方で品質の検査をするぞ。」


職員

「くだらないことをぬかすな!

私はギルド職員だ。

穀物の検査を専門にしている。

まさか商人ギルドの正式な検査に文句を言うつもりじゃないだろうな!」


強面の職員さんが睨み付ける。


ウォーレン

「な、なんでギルドの職員が同席してるんだよ!?」


職員

「アキラ様はBランクだ。

ギルドも便宜は図る。

ギルドとして依頼未達成を認定した。

ウォーレン、

お前の資産は差し押さえする。

現在のカードに入っている金だけでは違約金に足りない。

足りない分は現物資産を差し押さえし、違約金に充当する。

それでも足りない場合は、

借金をするか、

経済奴隷となり返済まで働くか、

どちらかだ。」


ウォーレン

「そ、そんな、、、」


職員

「ギルドまで来てもらうぞ。」


職員さんがウォーレンを引っ張って行く。

エリオさんもそのサポートに一緒にギルドに向かった。

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