ギルドマスター カーン
ユカさんが退席した後、僕は満月亭で起きている問題を相談した。
カーン
「なるほど。
それはお困りでしょう。
しかし、ウォーレンですか。
面倒な男に目をつけられましたね。」
僕
「知ってる人なんですか?」
カーン
「直接話をしたことはございません。
ですが、評判の悪い男です。
職員からの報告で何度か名前は聞いています。かなり悪どい商売をしていて、トラブルメーカーと認識しています。」
僕
「何か止めさせる方法はありますか?」
カーン
「そうですね、、、
なかなか難しいでしょうね。
そもそも本人の名前が予約の段階で出てこないので、犯行を否認されれば、それ以上の追及が出来ないと思います。」
僕
「でも、予約を転売してお金を得ているんですよ。キャンセル料は払わないし。」
カーン
「キャンセルした予約をウォーレンがさせたものだという証拠がないんです。
おそらく金に困った低ランク冒険者にやらせているんでしょうが、発覚する頃にはその冒険者の所在はわかりませんからね。」
僕
「泣き寝入りするしかないんですか?」
カーン
「いいえ、
アキラ様にご協力頂ければ可能かと。」
僕
「どうするんですか?」
カーン
「ウォーレンを嵌めます。
あの男の飛びつきそうな儲け話をでっち上げます。そして、ヤツの金をすべて巻き上げ、破滅させます。細かい筋書きはこれから考えますが、ざっくりはそんな感じです。」
エグい。
さすがにギルドマスターをやるだけはある。
頭がキレるね。
敵に回したくないタイプかな。
カーン
「誤解のないように説明致しますが、
前々から考えてはいたんです。
ウォーレンは再三の注意を無視してやりたい放題でしたので。
ただ、アキラ様にご協力頂ければ、より確実にことを運べる、ということですよ。」
僕
「僕は何をすればいいんですか?」
カーン
「少しお時間をください。
そうですね~、
明後日、
もう一度ギルドにお越し頂けますか?
それまでに準備を整えておきます。」
僕
「宜しくお願いします。」
満月亭に戻った後、みんなに報告。
モルト
「ありがとうございます。」
エリオ
「ギルドマスターが動いてくれるなら期待できるのではないでしょうか。」
僕
「だよね。
これでうまくいくよね。」
エマ
「でも、どんな手段を取るんですかね?」
僕
「怖いような、楽しみなような。」
エリオ
「頭の回転の速いギルドマスターが相手です。我々に不利益がないように警戒は必要ですね。」
僕
「でもギルドマスターだよ。
悪いようにはならないんじゃない?」
セリス
「信用するのと、警戒を怠るのは同じではありません。」
ふ、深い!
僕
「確かに。
ガロッソさんにも相談しといた方がいいね。
明日にでもコーラル商会に行ってくるよ。」
そして、翌日。
ガロッソ
「・・・なるほどな。
大変だったな。
とりあえず今回は信用していいと思うぞ。」
僕
「ですよね。」
ガロッソ
「商人にとって大切なのは、
損か、得か、だ。
ギルドマスターとして、
ウォーレンって野郎を野放しにするのは損。
アキラに恩を売るのは得。
って判断をしているだろうってことだ。
損得勘定は状況によって日々変化していくからな。それを見逃すと危険だな。」
僕
「なるほど。」
ガロッソ
「ギルドマスターがどんなことをするつもりかは知らないが、ギルドマスターとBランク商人を敵に回すと悲惨なことになるということを身をもって体感することになるだろうな。」
僕
「ウォーレンって人がそれで予約の転売を止めてくれたらいいんだけど。」
ガロッソ
「まぁ、楽しみに待っときゃいいさ。
悪いようにはならんだろうさ。」
う~ん、何が起こるのか気になるね。
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