王都のギルド

窓口のおばちゃん

「次の方~。」


は~、

何も相談出来ないまま、終わっちゃった。

どうしようかな?

僕が落ち込みながらとぼとぼ歩いていると、


「無事解決出来そう?」


「あっ、ユカさん。」


ユカさんが声をかけてくれた。


ユカ

「その顔はダメっぽいね。」


「実は、、、」


僕はユカさんに窓口での対応を説明した。


ユカ

「何それ!

信じられない!

ちょっと言ってくるわ!」


ユカさんがプンプンしながら、さっきの窓口に歩いて行く。僕はその後に続いて行く。


ユカ

「ちょっと、どういうつもり!

彼の相談をろくに聞かずに門前払いしたでしょ!」


窓口のおばちゃん

「横入りしないでちょうだい!

警備員を呼びますよ!」


ユカ

「ちゃんと話を聞きなさいよ!」


窓口のおばちゃん

「警備員さん!

こちらに来てください!」


ユカ

「ちょっと!」


あっという間に警備員に囲まれました。

そして、警備員室に連行。

完全に危険人物扱いだよね。


警備員

「ギルドカードを提示ください。」


僕とユカさんがカードを差し出す。

チェックした警備員の1人が部屋を出ていく。


ユカ

「私たちは悪くありません。

話を聞かない窓口が悪いんです!」


警備員

「しばらくお待ちください。

状況の確認は後ほど行います。」


しばらく待つと、警備員が戻って来ました。


警備員

「こちらへお越しください。」


部屋を移動するみたい。

連れて行かれたのは応接室でした。


ユカ

「え?」


警備員

「こちらにお掛けください。」


警備員室とは椅子の座り心地も全然違うね。

ふかふかだよ。


更にお茶とお菓子が用意されました。


しばらくすると、


恰幅のよいおじさん

「お待たせして申し訳ございません。

ギルドマスターのカーンと申します。

この度は不愉快な思いをさせてしまい申し訳ございません。

状況をお聞かせ願えますか?」


「えっと、、、

他の商人とのトラブルを解決してもらいたくて窓口に相談に行ったんですけど、自分で解決しろって内容も聞いてもらえなくて。

それでユカさんが抗議に行ってくれたんです。」


カーン

「大変失礼致しました。

窓口の担当者に状況を確認し、指導致します。アキラ様のトラブルに関しては私が直接伺い、最大限、お力になることをお約束致します。」


「ありがとうございます。」


王都のギルドもさっきの窓口のおばちゃんはダメダメだったけど、マスターさんはちゃんとした人で良かったよ。


ユカ

「あの~、お聞きしてもいいですか?」


カーン

「はい。なんでしょう?」


ユカ

「明らかに異常な対応なんですけど、何があったんですか?」


カーン

「アキラ様クラスの方ですと、本来は専属窓口を設定し、このような問題が起きないようにしているのですが、今回は窓口担当者がランクも確認しないまま、粗雑な対応をしてしまいましたので、大きな問題となってしまいました。アキラ様に誠意をお見せする為に、今回の事案については私が直接対応を致します。」


ユカさんがこっちを見ながら小声で、


ユカ

「アキラ君のランクって何?」


「Bだけど?」


ユカ

「えぇ!?

そんな高ランクだったの!

最初に言ってよ。」


つい大きな声が出ちゃってます。


カーン

「まぁ、その通りですね。

アキラ様はBランク。

しかも王宮ともつながりが深いお方です。

先に適当な職員にランクをお伝え頂ければ、並ぶ必要もなく、専用の部屋でお話をうかがう流れになるんですよ。」


「そうなんだ。

すいません、知りませんでした。

パエルモだと、オリバーさんがすぐに対応してくれるから、他の職員さんに頼む機会がなくて。」


カーン

「ギルドマスターがすぐに出てくるということは、それだけVIPだということですよ。」


「なるほど。」


ユカ

「込み入った相談するなら私は退席した方がいいわね。

失礼してもいいかしら。」


カーン

「かまいません。

お時間を取らせて申し訳ございませんでした。」


ユカ

「じゃあね。」


ユカさんが部屋を出ていく。

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