転バイヤー
ある日。
満月亭のモルトさんから相談があると言われました。
僕
「どうしたんですか?」
モルト
「ちょっと問題がありまして。」
僕
「えっ、
満月亭で何か問題が起きてるの?」
モルト
「満月亭は順調です。
予約もしっかり埋まって、食べたお客様からは好評を頂いています。」
僕
「よかった。
じゃあ、何が問題なの?」
モルト
「満月亭の予約がなかなか取れないことを利用して、予約を大量に入れて、それを食べたいお客様に売る、という商売をする人が出てきたんです。」
僕
「なかなか悪質だね。」
エリオ
「しかも、販売が出来なかったら、ドタキャンしてくるんです。
本当に疫病神のような連中です。」
エマ
「食べてほしいですよね~。」
そりゃそうだね。
僕
「転売目的で予約を入れてくるのか~。
直前のキャンセルはキャンセル料を取ってますよね?」
モルト
「それが、犯人も巧妙で、、、
予約を下級の冒険者にさせているんです。
そして、予約当日には予約した本人は既にどこかに旅立っていて、請求が出来ないんですよ。」
僕
「計画的な犯行だね。
犯人はわかっているの?」
セリス
「ウォーレンというEランクの商人です。
殺しますか?」
僕
「いやいや!
さすがに殺しちゃまずいでしょ。
まずは商人ギルドに相談かな?」
エリオ
「ギルドは商人同士のトラブル解決も担っています。相談するのは無難な選択だと思います。」
おっ、エリオさんからも悪くない反応。
僕
「じゃあ、
ギルドに相談に行ってきますね。」
エマ
「頑張ってください~。」
僕がオーナーだもんね。
頑張らないと。
さっそく王都の商人ギルドへ。
僕、商人の割に商人ギルドの知り合い少ないんだよね。パエルモのギルドマスターのオリバーさんぐらいかな。
王都のギルドは立派な建物でした。
沢山の人、人、人。
どうしよう?
「初めてなの?」
急に背後から女性の声。
振り替えると同い年ぐらいの女性。
僕
「はい。
いつもは別の街でギルドを利用してたので王都のギルドは初めてです。」
女性
「ここは大きいもんね。
戸惑うよね。
ギルドに来た目的は何?」
僕
「他の商人とのトラブルを解決して欲しくて。」
女性
「商人間のトラブルの調整ね。
それなら、あっちの窓口に並べばいいよ。」
僕
「ありがとうございます!
助かりました。」
女性
「ここは大き過ぎるよね。
私も田舎のこじんまりしたギルドの方が落ち着くわ。」
僕
「田舎にも行くんですか?」
女性
「私は旅商人をしてるの。
王都とかで仕入れてから地方の農村に売り歩いているの。
農村は不便だからね。
逆に農村の余った品物を買い取って大都市で販売するって感じかな。」
僕
「すごいですね。」
女性
「全然すごくないよ。
私なんて駆け出しだからね。
私は旅商人のユカ。
どこかで会ったら是非買ってね。」
僕
「はい。
僕はいつもはパエルモにいます。
アキラって言います。」
ユカ
「よろしくね。
じゃあ、また機会があれば。」
僕
「ありがとうございました。」
お礼を言って、教えてもらった列に並びました。なかなか時間がかかりそうです。
手続きとかじゃなくて、その他の相談窓口ってことみたいで、1人1人が時間がかかるみたい。
仕方ないな~。
僕の前はさわやかなお兄さん。
なんか窓口のおばちゃんがすごい親切に説明している。こりゃ時間がかかるよね。
ようやく僕の順番。
窓口のおばちゃん
「今日はどうされました?」
僕
「他の商人とのトラブルを解決してもらいたくて。」
窓口のおばちゃん
「ギルドは便利屋じゃないんですよ。
当人同士で解決してください。」
えっ、それだけ?
なんか終わった感を出してるんだけど。
塩対応過ぎない?
僕
「あの、、、
ギルドは商人間のトラブル解決もしているって聞いたんですけど。」
窓口のおばちゃん
「なんでもかんでもギルドに頼らないでください。ギルドも暇じゃないんですよ。」
え~、どうしよう?
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