引き渡し

バレティアに向かって飛びながら、呪具操作を練習する。

なかなか加減が難しいね。

これ、やり過ぎると精神を破壊しそう。

強い暗示みたいな感じだけど、理性や記憶との不一致が大き過ぎると精神への負担が大きくなるみたい。


だから、ほどほどのラインを目指す。

異世界人の先輩であるセージさんに対して、尊敬とかそういう感覚を持たせて、だから命令に従うことに抵抗感をなくす、みたいな感じ。



翌日。

バレティアの近くで元クラスメートたちを入れた結界を止める。

平田は地面に降ろす。


更に呪術をプレゼントだ。

経験値を獲得出来ない呪いだ。

そのまま放置。

好きに生きてくれ。

たぶん、雑魚モンスターを狩りながら生き続けるしかない。中途半端にレベルも高いから街の近くにいるモンスターに負けることはないだろうけど、街の外だと気の休まる暇もないだろうね。


大きな街なら呪いを解ける術士もいるだろうけど、街には入れないからね。


知ったこっちゃない。

僕を狙った罰だ。

殺さないことを優しさだと思ってほしいね。


僕は単身、セージさんのところを訪れる。

すぐに取り次いでくれました。


セージさんの執務室まで案内されました。


セージ

「久しぶりだな。

今日はどうしたんだ?」


「ちょっと相談したいことがありまして。」


セージ

「相談か。

なんでも言ってみろ。」


「ありがとうございます。

実は雇ってほしい異世界人がいるんです。」


セージ

「異世界人を雇う。

元から私はその活動をしているから、もちろんかまわないが、何か問題があるのか?」


「えっと、、、

人数は11人で。

全員、僕の元クラスメートなんだけど、

奴隷にされたクラスメートを強引に奪うとかそういう犯罪行為をやってて、僕とも対立することになったから、スキルを奪って、全員に奴隷の腕輪を着けたんです。」


セージ

「かなり特殊な状況のようだな。

もう少し詳細を教えてるか。」


それから僕は、

元の世界でのこと、

この世界に来た時のこと、

先生とのやり取り、

襲撃を受けたこと、

主犯のスキルを奪ったこと、

主犯は奴隷にして捨てたこと、

残りのメンバーのスキルを奪ったこと、

待機させていること。


セージ

「・・・どこからつっこんだらいいんだ。」


「えっと、、、

説明足りてなかったかな。」


セージ

「いや、

理解は出来た。

元の世界の人間からすると奴隷への忌避反応は強いからな。強硬な手段を選択することもあるだろう。

それに自分が手に入れた力に溺れてしまうのも人間の性だろう。

ある意味、理解できる。」


「じゃあ、雇ってもらえますか?」


セージ

「その前に確認だが、アキラはスキルを奪えるのか?」


「出来ますよ。

ちょっと特殊なスキルがあるんです。」


セージ

「そうか、、、

アキラはなんでもありだな。

だが、なんで全員のスキルを奪ったんだ?」


「ちょっと強過ぎるんですよ。

奴隷の腕輪も絶対じゃないですから。」


セージ

「確かに異世界人11人はかなりの戦力だな。スキルが使えないぐらいで調度いいかもしれんな。」


「セージさんの指示に従う。

リズムリア王国を守る。

それを命令してます。

でも本人たちは奴隷の腕輪に支配されているとは考えていません。自発的にやってると思ってます。」


セージ

「そうか。

凄まじい能力だな。

せっかくの戦力だ。

有効に使わせてもらおう。」


「じゃあ連れてきますね。」


その後、引き渡しを実施。

ステータスの確認とかを行い、ちゃんと奴隷の腕輪が効いているかなども確認。

問題なく引き渡しが完了しました。


なお、僕には大量の代金が支払われました。形式上、僕が奴隷を売ったことになるんだって。まぁ、みんな上級職以上でレベルもほどほどに高いからね。

予想外の臨時収入です。

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