反省会
片付けを終え、みんなを満月亭に帰らせた後、アーサーさんのところを訪れた。
アーサー
「今日はご苦労だったな。」
僕
「疲れましたよ。」
アーサー
「まさかヒデタダ殿が気に入り過ぎて混乱が生じるとは思わなかったが。」
僕
「ドキドキしましたよ。
それで僕はどうすればいいんですか?」
アーサー
「もうすぐホンダ卿がいらっしゃる。
そこで対応を話し合うつもりだ。
ちなみに、ホンダ卿は信頼できる人物か?」
僕
「う~ん、
原則的には信頼できると思いますよ。
貴族らしい腹黒さはあるけど、気にならない程度かな。」
アーサー
「アカツキ王国屈指の大物だ。
清廉潔白だけでは成立せんだろう。」
コンコンコン
兵士
「失礼致します。
ホンダ卿をお連れ致しました。」
アーサー
「お連れしろ。」
ホンダ公爵が護衛っぽい人を引き連れて到着。全員を退室させ、ホンダ公爵だけが残った。
ホンダ
「これでここには我々3人だけになりました。気兼ねなく話が出来るでしょう。」
アーサー
「護衛を全員退室させて良いのですか?」
ホンダ
「アキラがいるのに護衛は意味がありますかな?」
アーサー
「たしかに。おっしゃる通りです。
その話しぶりを聞く限り、ホンダ卿はアキラのことを深く理解されているようですね。」
ホンダ
「ええ。
腹の探りあいは不要です。
率直な意見交換を致しましょう。」
アーサー
「そうですね。
ここには3人しかおりません。
まず確認だが、アカツキ王国に店を出すつもりはないんだな?」
僕
「絶対ダメってことはないけど、準備もあるし、どんな店にするかも考えないといけないし。
すぐには結論は出せませんよ。」
ホンダ
「来年にでも、アカツキ王国のパーティーで料理を提供してもらうことなら出来るか?
普通のパーティー料理でかまわん。」
僕
「それぐらいなら問題ないですよ。
あんまり頻度が高いと嫌ですけど、年に1回ぐらいなら観光がてら、みんなで行きますから。」
アーサー
「では、その方向で話をまとめましょう。」
ホンダ
「ヒデタダ殿下のスケジュールは私が調整しよう、また私の屋敷に顔を出してくれ。」
僕
「わかりました。」
アーサー
「ホンダ卿はアキラの扱いに慣れてらっしゃいますね。見習いたいですよ。」
ホンダ
「欲を出さずに、アキラの受け入れてくれそうなラインで話をまとめるしかないですよ。無理強いしようとして、良い結果になるとは思えませんから。」
アーサー
「慧眼です。
私は過去に一度大失敗をしましたからね。」
ホンダ
「戦でも、外交でも、相手の力量を読み間違えると致命的です。
アーサー殿もその若さでなかなかの経験をされているご様子。
アキラのことはさておき、こうしてアーサー殿と親交を結べたことは私にとって幸運です。」
アーサー
「私も同感です。
ホンダ卿とは一度ゆっくりと酒を酌み交わしたいですね。」
・・・なんか置いてきぼりです。
僕の件はまとまっからいいんだけどさ。
僕
「なら、今から飲んだら?
お酒とあてになる食べ物も少しぐらいならありますよ。」
ホンダ
「外交はそれほど単純ではないのだよ。
私とアーサー殿が仲良くし過ぎてはいらぬ勘繰りをされてしまう。」
アーサー
「単純に気が合ったから飲む、って訳にはいかないんだ。私もアカツキ王国と個人的に親密にし過ぎると陛下から怪しまれるからな。」
難しいんだね。
僕
「じゃあ、今度、
うちのお店で飲んだらどうですか?
密室だから外には漏れないし、ホンダ公爵も僕が送り迎えするから1泊2日で大丈夫ですよ。」
ホンダ
「それは有難いな。」
アーサー
「では後日、
予定を合わせて食事会を開きましょう。
アキラもたまには良いことを言うじゃないか。」
僕
「失礼だな~。
満月亭のみんなには話をしておくから、スケジュールが決まったら言ってください。」
ホンダ
「よろしく頼む。」
なんだかんだと言いつつ、2人とも晩餐会の会場では助けようとしてくれたからね。
お礼はしないとね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます