呪術士

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平田視点です

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俺は勝ち組だ。

元の世界にいた時は目立つ存在じゃなかった。北条や荒川みたいなクラスの中心じゃない。


この世界に来た時、

『呪術士』になった。

地味な職業だ。

相手にステータスダウンやステータス異常を与えるのを得意とする上級職。

戦闘能力は低い。


勇者や賢者のような華やかさはない。

奴隷になった後もそれほど価値は出なかった。


しかし、『呪具操作』というスキルを手に入れた時、世界が変わった。

『呪具操作』は呪いを与える道具を扱う為のスキルだ。


奴隷の腕輪がこのスキルの対象だった。

このスキルは奴隷の腕輪の能力を強化できる。

色々試した。

そして、洗脳のような効果を発揮出来ることがわかった。


そんな時、百田先生が助けに来た。

クラスメートの保護と元の世界に帰る方法を探しているということだった。


俺は百田先生に協力することにした。

そこから俺の時代が始まった。

俺は安全な場所にいるだけでいい。


『奴隷の腕輪の効果を解除する』

それが表向きの役割だ。


でも実際は俺の奴隷にしていく。

なんでも言うことを聞かせられる。


そして、人数はどんどん増えてきた。

凄い戦力だ。

俺たちは強い。

13人まで増えた俺たちはかなりの戦力になっている。


どんどん奴隷が増えていく。

あの北条が仲間になった。

さっさと奴隷にしたかったが、林が邪魔だった。なかなか北条が1人にならない。


そして北条が目を覚ましてしまった。

相手は勇者だ。

戦力として手に入れたかったが、なかなか警戒心が強い。わざわざ部屋に忍び込んでも、すぐに目を覚ましてしまう。

強引な手段を使えば、こちらにもリスクがある。



北条がヘタレになっていた。

不動のエベレストに殺されかけて、ビビったようだ。まともに武器も握れなくなったらしい。


笑えるな。

あの北条が今やヘコヘコしながら、掃除や洗濯なんかをしている。

あの偉そうだった北条が、クラスの中心にいた北条が、今は部屋の隅でオドオドしている。

見ていてスッキリするな。



どうやら北条もバカじゃないみたいだな。

ようやくみんなが俺の奴隷になっていることに気付いたみたいだ。

怯えている。

滑稽だな。

なにが勇者だ。

とんだチキン野郎だ。



北条が夜のお楽しみをのぞき見している。

三上に見張りをさせていたから北条の動きは丸わかりだ。


平田

「おいおい、のぞき見か?」


北条が走って逃げ出した。

ハッハッハッ、いい気味だ。

あの北条が俺にビビって、ゴミみたいに逃げていった。


気分がいい。

俺はこの世界で成り上がってみせる。

元の世界じゃモブだったかもしれない。

所詮、野球部の補欠だったからな。

でもこの力を使えば俺の軍団を作れる。

異世界人は強い。

今、12人だ。

もっと数を増やそう。

百田先生に頑張ってもらえばいい。


正直、俺は元の世界に戻るつもりはない。

この世界で好き放題してやる。

強いヤツ、使えるヤツならクラスメートでなくてもいい。どんどん俺の奴隷にしてやる。


大金持ちになる?

貴族になる?

どれも可能だろう。

王様になることだって出来るかもしれない。

さすがにドバン帝国を相手にするには力不足だが、小国なら乗っとることも可能だ。

国のトップを俺の奴隷にしてしまえばいいんだからな。


発狂して出ていった元勇者様。

神様も粋なことをしてくれる。

北条がこの世界に来て、勇者だった時はやっぱりか、と思った。

この世界でも輝くヤツは決まっていて、俺は補欠なのかと諦めていた。


でも違った。

奇跡の大逆転だ。


・・・ただ気に入らないのは馬場だ。

定食屋で大成功?

誰にも頼らず生きていく?

俺以外に成功者はいらないんだよ。

底辺は底辺らしく、どの世界でも底辺にいろよ。馬場ごときが成功者面するなよな。

少し調べてみるか。

金を溜め込んでいるなら、俺が有効に使ってやるよ、クックックックッ。

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