ワインが出来るまで

チリーナはワインを名産品にするにはまだまだ時間がかかりそう。

ブドウ作りとワイン作りどちらにも課題はある。ただ、僕には解決策は無い。


でも、僕も成長しているんです。

わからなければ専門家を雇えばいい。

ワイン作りの専門家ならボルトに沢山いるはず。独立したいとか、跡を継げないとか、そんな人をスカウトして、ワイン作りを指導してもらえばいいんだよ。



と言うことで、

やってきました、ボルトの街。

・・・マユラさんと一緒に。


マユラ

「またスカウトのお手伝い?」


「僕のコミュニケーション能力じゃ、情報収集とか、雇うための交渉とか出来ないよ。」


マユラ

「そんなことを自信持って言わないでよね~。それにボルトって何回もワインの買いつけしてるから、知り合いも多いんじゃないの?」


「向こうは僕のことを知ってくれてるんだけど、僕があんまり知らないんだよね。

それにワイン買うのは普通のお買い物だから簡単なんだけど、今回って複雑じゃない?」


マユラ

「複雑じゃないよ。

まぁ、私としてはワイン作りは応援したいから手伝うけどね。」


マユラさんの休日に合わせて、ボルトの街に来ました。マユラさんはワイン好きだから、なんやかんや言いながら一緒に来てくれた。


早速、いつもワインを大量購入しているワイン屋さんへ。


店主

「いらっしゃい。

今日はきれいなお姉さんと一緒でうらやましいね~。」


マユラさんはオフだから、私服です。


「今日はお店用じゃなくて、家で飲む用だから少ないんだけど。」


店主

「いつも大量購入してもらってるからね。

安くしとくよ。」


マユラ

「じゃあ、

これと~、これと~、、、」


マユラさんが何本か選んでいく。

ちなみに、ワインをプレゼントするのが、今回のスカウトを手伝ってもらうマユラさんへの報酬です。


マユラ

「すいませ~ん。

知り合いのワイン業者さんで、働き口探している人とかって知りませんか?」


店主

「どうしたんだい?」


マユラ

「知り合いがブドウ畑を持っていて、ワイン作りを指導してもらいたいらしいんです。

出来ればそのままワイン工場で働いて欲しいらしくて。」


店主

「なるほどな~。

う~ん、、、

たしか、チェリオの息子が冒険者になるとかならないでもめてたはずだな。

もしかしたら頼めるかもしれないぞ。」


マユラ

「ありがとうございます♪

じゃあ、もう1本買っちゃおうかな。

お兄さんのオススメを1つください。」


店主

「まいどあり。

そうだな~、これなんか美味しいぞ。」


う~ん、

買うのは僕なんだけどね。

でもマユラさんが話をするとスムーズに進むな~。


ワインを沢山ゲットしてホクホク顔のマユラさん。

そのまま紹介されたチェリオさんのところへ。


普通の農家だね。

ボルトの街ではブドウ農家がブドウを圧搾する機械などを共有している。

収穫のシーズンになると、収穫したブドウを順番に圧搾させていくらしい。


マユラ

「すいませ~ん。」


女性

「どちら様です?」


マユラ

「実は酒屋さんに聞いて来たんですけど。少しお話を宜しいですか?」


チェリオさん家族とお話。

話題になっていたのは三男のロンさん。

既に年上の兄弟がブドウ畑で働いており、成人するタイミングで出ていかなければならない。農地はなく。ゼロから耕してもブドウは実をつけるのに数年かかるらしい。

だからブドウ農家は諦めて、冒険者になるつもりだとか。

ただ、家族は冒険者は危険過ぎるから止めてくれと反対。喧嘩になっていたらしい。

明後日にはロンさんは家を出る予定だったようです。


チェリオ

「ワイン作りの指導ですか。出来なくはないと思いますよ。ガキの頃からブドウ栽培とワイン作りは手伝わせてきましたから。」


ロン

「有難い話ですけど、場所はどこですか?」


マユラ

「リズムリア王国です。」


ロン

「知らねぇな~。」


この世界では富裕層や知識人以外は他国のことなど知らない。大抵の農家は生まれた村からほとんど出ることなく一生を終えるのだ。


マユラ

「少し遠いですけど、アキラ君のスキルを使えば1日で移動出来ます。」


チェリオ

「なら、ブドウ畑とワイン工場を見せてもらえないか?

私も一緒に見てみたい。」


マユラ

「ベテランのチェリオさんにもチェックしてもらえるなら有難いです。

来週行きますか?

1泊ぐらいする可能性が高いですけど。」


チェリオ

「ああ、それくらいなら問題ない。」


ロン

「宜しくお願いします。」

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