王の帰還

エドワルドが第1騎士団を伴って王都へ戻ると、臣下たちが出迎えた。

抵抗や怪しい動きはない。


更に馬を進めるとアーサー王子が待っていた。アーサー王子は片膝をつき、臣下の礼をとり、


アーサー

「兄上、帰還をお待ちしておりました。

父上が崩御されました。

葬儀と王位の継承をお願い致します。」


エドワルド

「アーサーよ。

此度の働き、感謝する。

父上の死に乗じて、不埒な行いをした者たちを捕らえてくれたようだな。」


アーサー

「有り難き御言葉。

こちらにおりますパエルモ卿が命をかけて王宮に潜入し、奪還に尽力してくれました。」


エドワルド

「パエルモ卿よ。

そなたこそ真の忠臣だ。

父上を支えてくれたように私にも仕えて欲しい。」


パエルモ

「我が剣を捧げます。」


一連の出迎えで、アーサー王子はエドワルドを新国王として扱い、王と臣下という立場を明確に示した。

パエルモ伯爵もエドワルドに忠誠を示した。


これで一連の騒動は一区切りがついた。

当人たちは多忙をきわめるだろうが、僕にはあまり関係がない。


パエルモ伯爵が説明してくれたけど、

前国王の葬儀

新国王の即位

謀叛の処罰

論功行賞

などが行われるらしい。

パエルモ伯爵やアーサー王子はそれに付き合って、多忙になるようだ。


それと、

ずっと『アーサー王子』と呼んできたけど、エドワルドさんが国王になることで、

『王弟アーサー殿下』にバージョンアップしたらしい。

面倒くさいから呼び方は『アーサーさん』にしようと思ってます。

大勢の人の前ではちゃんとしますよ。

でもね。

そんなに公式な場所に呼ばれることもないだろうし。




その後、

前国王の葬儀やエドワルドさんの即位は問題なく終了。新国王の即位は街中でお祭り騒ぎをしてました。まぁ、人気取りってことみたい。


ブルータスとアルガスの2名は処刑された。

わざわざ大衆の面前で処刑するって、けっこうエグいよね。

処刑を野次馬している人ってどんな神経なんだろう?


前王妃はへき地で監禁生活らしい。

ブルータスの行動に協力していたのは間違いないけど、新国王の母親でもある訳で。

おおっぴらに罪を問うことはしなかったみたい。


第3騎士団のメンバーも大半が処罰を受けた。処罰の内容はその参加度合いによって違うみたいだけど、実家が罰金を支払うケースが多かったみたい。


ブルータスの後ろ盾であるモンタナ伯爵については明確な証拠が出なかったため、直接的な処罰はなかった。しかし、その弱体化を狙い、第3騎士団に子供が入っていたモンタナ伯爵の寄り子には多額の罰金を課し、支払い能力を超えているため、モンタナ伯爵が肩代わりする事態が多発した。


更に国の要職からもモンタナ伯爵と同じ派閥の貴族は外され、力を削がれることになった。


論功行賞では、パエルモ伯爵とアーサーさんが最大の功労者となった。

なんか色々と褒美は渡されたみたい。

ただ、単純には喜べないらしい。

政治的な駆け引きとかバランスがあるんだってさ。

エドワルド国王にしてもパエルモ伯爵やアーサーさんには感謝しているけど、力を与え過ぎる訳にはいかないってことらしい。


それと、

アーサーさんとペネロペさんの結婚式も国事として大々的に行うんだって。

お祝い事はいいよね。


第3騎士団の残党やブルータス派の人間が山賊のような行為をやり始めたらしいけど、すぐに討伐軍が派遣された。

多少は残ったかもしれないけど、大半は処断されたみたい。



ちなみに、

僕はアーサーさんから礼金が贈られた。

かなりの額です。

最近、自分の資産を気にしてないけど、凄い額になってそう。

パエルモ伯爵からはどちらかと言うと僕が巻き込んだだけなので、褒美は無し。

もちろんエドワルド国王からもない。

僕が王宮にいたことは知られていないからね。

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