王子たちの動向

アルガスは短刀を大きく振り上げ・・・

そのまま倒れた。

周囲にいた騎士たちも倒れている。


ペネロペ

「えっ??」


アーサー

「あっ、、、

アキラ、

眠らせられるなら、早くやってくれ。

ペネロペの顔に傷がついたではないか。」


ペネロペ

「この程度はかすり傷です。

名誉の負傷と言うものですかね。」


頬から血を流したまま微笑むペネロペさん。


「すいません。

ちょっと雰囲気に流されちゃって。」


僕はそんなことを言いながら回復魔法を使う。優しい光がペネロペさんを包む。

そして、頬の傷はきれいさっぱり消えていた。


アーサー

「な、、、きれいに消えている。

アキラ、お前、こんなことも出来るのか?」


フレデリカ

「アキラに常識は通用しない。」


「フレデリカさん、

なんか、僕が常識無いみたいに聞こえるじゃん。やめてよ~。」


ペネロペ

「アキラさん、ありがとうございます。」


パエルモ

「ゆっくりしている時間はございません。

早々に城内にブルータスとアルガスを捕まえたことを宣言しましょう。」



それから僕たちは大広間に移動。

縛り上げたブルータスとアルガスを置き、


アーサー

「見よ!

ブルータスとアルガスは捕らえた!

ブルータスの王位さん奪は失敗した!

繰り返す!

ブルータスとアルガスは捕らえた!

ブルータスの計画は失敗だ!

無駄な抵抗はやめよ。」


アーサー王子は勝利を宣言。

既に勝敗は決していた。

ただ城内での残存兵との戦いは明け方近くまで行われた。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


エドワルド王子のところにもブルータス王子が王宮を占拠したとの情報は入っていた。


エドワルド王子は第1騎士団とともに王国北部に異常発生したモンスターの討伐に出ていた。


エドワルド

「厄介なことになったな。

そもそも、今回のモンスターの異常発生すら罠だった可能性があるな。」


ラインハルト

「我々を王都から離れさせるためですか。」


ラインハルトは第1騎士団の団長を務める男だ。長年王家に仕える初老の騎士だ。白髪で顔には深いシワが刻まれているが、肉体はまだまだ現役である。


エドワルド

「あぁ、おそらくな。

現状、我々の選択肢は2つ。

ブルータスの体制が整う前に強襲し、王宮を奪還する電撃作戦。

もしくは一度ベルフォームに入り、準備を整える長期戦。

どちらも一長一短がある。」


ラインハルト

「王都にはブルータスに反感を持つ者も少なからずいるでしょう。しかし、状況がわからぬまま、闇雲に王都に突っ込むのはリスクが大き過ぎます。

ベルフォームに入り、殿下に賛同する者を集めてから動かれる方がたしかかと。」


エドワルド

「なるほどな。」


兵士

「失礼致します!」


兵士が駆け込んできた。


エドワルド

「何事だ?」


兵士

「報告致します。

パエルモ伯爵の嫡男ジョシュア様がパエルモ騎士団の団長ヒース氏を伴って殿下への謁見を求められております。」


エドワルド

「パエルモ伯爵の嫡男、、、

すぐに会う。

通せ!」


エドワルド

「このタイミングでパエルモ伯爵からの使者か。何を言ってくるのか、、、

大きく状況が動くやもしれんな。」



すぐにジョシュア君とヒースは通された。


エドワルド

「よく参った。

火急の用件のようだが、申してみよ。」


ジョシュア

「はい。

現在、我が父、パエルモはアーサー王子とともに王宮の奪還に向け潜入しております。

父パエルモは、

王宮を奪還致しますので、正統な後継者であるエドワルド殿下には早急に帰還頂きたい、と申しております。

こちらをお目通し願います。」


エドワルド

「なんだと!?

パエルモがか、、、」


エドワルド王子はパエルモ伯爵の書状を読みながら、しばらく考え込む。


エドワルド

「ジョシュアよ、

よく伝えてくれた。

感謝する。

我々はすぐに王都へ向けて出発する。

大任をよく果たしてくれた。

疲れたであろう、しばし休め。」


ジョシュア

「ありがとうございます!」


ジョシュア君とヒースが退場する。


ラインハルト

「よろしいのですか?

罠の可能性もございます。」


エドワルド

「書状と嫡男は本物だ。

後はパエルモが本当のことを言っているかどうかだが。

私には信用するしか道はない。

もし、今回のブルータスの動きにモンタナだけでなく、パエルモまで協力しているのであれば私に勝機は無い。」


モンタナ伯爵とは、

リズムリア王国の南部を治める最大の領主であり、エドワルド王子とブルータス王子の叔父にあたる人物だ。

王妃の兄である。

この国有数の権力者だ。

そして、ブルータスを支持しているのは前々から知っている。今回の事件の黒幕だろうとエドワルド王子は考えている。


エドワルド

「すぐに王都へ向けて出発する。

準備を急がせろ。」


ラインハルト

「はっ。」

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