王宮決戦

「大所帯だな。」


アーサー王子は部屋にいた。

部屋は外から閉じられ、見張りも立っている気配がある。

自室に監禁されていたようだ。


パエルモ

「ご無事でなによりです。」


アーサー

「監禁はされているが無事だ。

まだまだ戦況の読めない状況だ。ブルータスもいきなり私を殺すようなことはしたくなかったんだろう。

これからどうするつもりだ?」


パエルモ

「エドワルド殿下を王宮に迎え入れる準備を進めます。既に殿下へは使者を出しています。」


アーサー

「・・・なるほどな。

微力ではあるが手伝おう。

私の部下も城内にいるはずなのでな。」


この時点でパエルモ伯爵はアーサー王子に『あなたを王にするつもりは無い』

と伝えているのだ。


それを受けて、アーサー王子もエドワルド王子が王位継承をすることを支持すると表明したことになる発言をしている。


これで、ようやく両者は協力関係となったのだ。


パエルモ

「ご英断に感謝致します。

まずはブルータス王子と第3騎士団の団長、アルガスの身柄を押さえます。

この2人を取り押さえればこちらに勝ちでしょう。城外に逃げられるのは避けたいところです。」


アーサー

「こちらの戦力は?」


パエルモ

「今ここにいるだけです。」


アーサー王子が僕とフレデリカさんの顔を見る。


アーサー

「非常識だが、十分な戦力だな。

まずはブルータスだな。

ブルータスは元々の部屋か、父上の部屋かのどちらかにいるだろう。

そこを狙おう。

私が案内する。

いずれ騒ぎは広がる。

アルガスは団長という立場上、いきなり逃げることはないだろう。

見つけ次第確保だな。」


パエルモ

「アキラには極力殺さないようにお願いしています。」


アーサー

「私からも頼む。

大半は状況がわかっていない普通の兵士だ。」


「とりあえず、眠らせて麻痺にしときます。

でも明日の午前中には解けるだろうから、縛るなり、牢に入れるなり、なんかしといてくださいね。」


アーサー

「私の手勢がいる。

後で対応させよう。

まずは部屋の前の見張りからだな。」


僕は魔法を発動し、扉越しに眠らせる。


バタバタバタバタ


4人が倒れる音がした。


扉を開け、

とりあえず部屋の中に放り込む。

アーサー王子はちゃっかり武器を奪っていた。


アーサー

「えげつないな、、、

まぁいい。

こっちだ。」


アーサー王子、僕、パエルモ伯爵、フレデリカさんの順番で移動する。

パエルモ伯爵の頭上にドラ、

気配を消してリンが周囲を警戒している。


途中に見回りや護衛の兵士がいたけど、兵士がこちらを確認する前に全員眠らせていく。

本当は眠った兵士を隠したいんだけど、人数も多いし、時間もかかるので無視して進んでいく。


アーサー

「ここが父上の部屋だ。」


しっかり護衛の兵士が立っている。


「当たりかな?」


さっさと見張りを眠らせる。

倒れる音がする。


部屋に入るのは僕が先頭だ。

何があるかわからないからね。


ドアを開けると、


「はっ!」


不意討ち。

鋭い斬擊。


でも、僕は気配察知が出来るからね。

不意討ちを成功させるのは難しいよ。

軽く避けて、剣を持つ腕を掴み、そのまま地面に倒して、押さえ込む。


アーサー

「寝室を間違えたか、ブルータス。

ここは父上の部屋だ。

王位継承順位2位のお前が使って良い部屋ではないぞ。」


ブルータス

「アーサー!?

何故、こんなことを!」


アーサー

「私も王族の1人として国の行く末は考えているんだよ。

あなたには王の器は無い。」


ブルータス

「お前ならあるとでも言うのか!」


アーサー

「私は王位継承順位3位です。

あなた以上に権限は無いさ。」


ブルータス

「エドワルドに譲ると言うのか!?

・・・アーサー、

お前を見誤っていたようだな。

どうだ、

今ならまだ間に合う。

私に協力しないか?

相応の地位は用意するぞ。」


アーサー

「面白い冗談を。

ここで退場するあなたには相応の地位を用意する権限は無いんですよ。」


ブルータス

「くっ!

なめるなよ、アーサー!

奇襲でここを襲ったんだろうが、城内には私の配下が大量にいる。

お前ごときが動かせる兵力では勝てないぞ。

そんなこともわからんのか!」

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