王都潜入

あっという間に王都到着。

普通なら外から歩いて入るんだけど、街の門のところで人だかりが出来ていた。

門が閉じられ、出入りが出来ないんだ。


僕たちは空からそのままパエルモ伯爵の屋敷に降り立つ。パエルモ伯爵は王都にも屋敷を持っている。2拠点生活をしている地方貴族ではよくあることらしい。


パエルモ伯爵の屋敷は異様な緊張感に支配されていた。

空から中をこっそり見ると、家人が集められて人質にされている。

そこには長男のジョシュア君の姿もあった。


パエルモ

「さて、どうしたものか。」


人質事件だからね。

安易なことは出来ない。


ヒース

「私が気を引きます。

その間にフレデリカが見張り3名を倒してくれ。」


フレデリカ

「わかった。」


ヒース

「しばしお待ちを。」


ヒースさんがパエルモ伯爵に声をかける。


パエルモ

「任せたぞ。」


ヒースさんが着地と同時に1人を音もなく斬り伏せる。

近くにいた男を返す刀で斬り殺す。


さすが騎士団の団長。

強いし、ためらいが無い。


犯人A

「しゅ、襲撃だ!」


犯人B

「伯爵の息子を人質にしろ!」


犯人たちが動き出すが、その動きは統率が取れていない。


ジョシュア君を狙う犯人たち。

手を縛られた騎士が間に割って入る。

身を呈してジョシュア君を守る。


ドコッ

バキッ

ドカッ


フレデリカさんが犯人たちを蹴散らす。

圧倒的スピード。


ヒースさんとフレデリカさんの前に残りの犯人たちも倒されていく。


パエルモ

「みんな、無事か?」


ジョシュア

「2人がケガを。」


さっきジョシュア君を守ろうとした騎士。

よく見ると体に包帯がぐるぐる巻きだ。


僕は2人に回復魔法をかける。

2人の体が優しい光に包まれる。


「傷は塞がったと思うけど、まだ無理しない方がいいよ。」


パエルモ

「すまんな。

状況を説明してくれ。」


ジョシュア

「いきなり騎士たちが屋敷に乗り込んできたんです!」


パエルモ

「騎士か、、、」


「お店が気になるんで、見てきてもいいですか?」


パエルモ

「かまわんぞ。

その間に状況を整理しておく。

なるべく早く戻ってきてくれ。」


「わかりました。

ハナ、また敵が来たら、みんなを守ってね。」


ハナ

『・・・うん。』


僕は郊外の満月亭へ急ぐ。

満月亭へ到着すると、


エリオ

「アキラ様、どうやら王都は非常事態のようです。」


エマ

「お店のみんなは無事だよ。」


「良かった。

どうやら王宮で色々起きてるみたい。」


セリス

「如何なさいますか?」


「とりあえず、王都のゴタゴタが落ち着くまでは安全第一で。

ガウを護衛につけるから、大抵の敵は倒せるはずだよ。

ガウ、みんなをよろしくね。」


ガウ

『心得ました。』


「じゃあ、僕は行くね。

パエルモ伯爵を待たせてるから、あんまり長居は出来ないんだ。」


モルト

「わざわざありがとうございます。」



まぁ、大丈夫だろう。

いくら王位継承争いって言ったって、いきなり街中のレストランが戦場になることはないだろうし。

まぁ、ガウ、セリスさん、エリオさん。

この戦力なら普通の騎士には負けることはないでしょ。



満月亭を出て、パエルモ伯爵のお屋敷に戻った。


パエルモ

「早かったな。」


「お店は問題なかったです。

ありがとうございました。」


パエルモ

「そうか、良かった。

これからのことを話したい。

来てくれるか?」


「わかりました。」


パエルモ伯爵、ジョシュア君、ヒースさん、フレデリカさん、僕の5人だけで部屋に入る。


パエルモ

「まず、うちの屋敷を襲った連中は第3騎士団だった。

つまり、ブルータス王子と第3騎士団は結託し、王宮の占拠を行ったと見て間違いないだろう。

更に言えば王妃様は次男であるブルータス王子に肩入れしていたから、協力者の1人と考えた方がいいな。」


ヒース

「リズムリア王国には3つの騎士団があります。第1騎士団は最も人数が多く、王国の治安維持を任務としています。

王都にいた第1騎士団の大半は現在エドワルド王子とともに北部で異常発生したモンスターの討伐に出ています。

第2騎士団はバレティアに駐在し、対ドバン帝国の要となっています。」


「セージさんのとこだ。」


ヒース

「その通りです。

そして今回の第3騎士団は王宮の護衛などを任務とし、貴族の二男や三男など跡を継げない貴族の受け皿になっている組織です。」


第2王子と二男や三男の騎士団によるクーデターってところかな。

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