塩瓜
ドギーさんはあっさり村に馴染んだ。
元々大きな海賊船の船長をやってたぐらいだから、コミュニケーション能力が高いのかもしれない。
養蜂の準備を進めながら、空いた時間で農業も手伝っている。
よく働くよ。
どうやらドギーさんはほどほどにステータスも高いみたい。スケルトンになって能力は下がったみたいだけど、Cランク冒険者ぐらいらしい。
だから力も村で一番強い。
ただ、スケルトンなので食事は食べられない。食事の代わりに魔石を吸収することでエネルギーを補給している。
せっかくなら一緒に食事が出来るといいんだけどね。
さて、ドギーさんが村に溶け込んできたので、もう1つの案件を処理しよう。
幻の植物、塩瓜。
海水で育ち、水瓶代わりに使える便利な植物だけど、パエルモには海がない。
育てるなら海のあるところだよね。
貴重品だから、1ヶ所に渡すのも問題かな~と思ったので3人に渡すことにしました。
アカツキ王国のホンダ公爵
サンティのバニル国王
パウロのガウル国王
この3人ならうまく扱ってくれるんじゃないかな。
さっそくデジーマへ。
ホンダ
「暴れ大雲丹を退治してくれて助かったぞ。漁師たちからも感謝の声が寄せられているぞ。」
僕
「僕も沢山の昆布をもらったから大満足ですよ。」
ホンダ
「追加で昆布やワカメを大量に買ってくれたようだな。」
僕
「美味しかったのでつい。」
爆買いしました。
ついでにワカメも生のワカメを頂きました。乾燥ワカメとはまったくの別物だね。
しゃきしゃき食感はやみつきになるね。
僕
「実はホンダ公爵に相談したいことがありまして。」
ホンダ
「なんだ?言ってみよ。」
僕
「珍しい植物を手に入れたんで、一緒に育てませんか、という話です。」
ホンダ
「珍しい植物?
どんな植物だ?」
僕
「これです。」
僕は用意した鉢植えの塩瓜を見せる。
僕
「塩瓜って植物なんですけど、
ご存知ですか?」
ホンダ
「なんだと!?
塩瓜だと!
当然知っているぞ。
もう絶滅したと聞いていたが、かつて船乗りたちが大変重宝した果実だと聞いている。
どこで手に入れたんだ?」
僕
「宝の地図です。それで見つけました。」
ホンダ
「なるほどな。
伝承通りの性質なら非常に価値のある植物だ。それをどうするつもりなんだ?」
僕
「僕の家は内陸部なんで、塩瓜を育てられないんですよね。
だから、ホンダ公爵が育てて、出た利益を私にもくださいって話です。」
ホンダ
「なるほど。
わかった。
ただし、塩瓜の世話をこちらで行うんだ、売上を半々では厳しいぞ。」
僕
「大丈夫です。
そこまで求めませんよ。
それと、この塩瓜はホンダ公爵だけじゃなくて、他にも渡す人がいらっしゃいます。
さすがに世界でここでしか育てていないっていうのはやり過ぎな気がしたんで。」
ホンダ
「そうだな。
その方が良いだろう。
誰に渡すんだ?」
僕
「サンティのバニル国王とパウロのガウル国王です。」
ホンダ
「ハンドル群島か、、、
なるほど。
アキラよ、塩瓜の販売で得た利益の2割をお前に払おう。
どうだ?」
僕
「わかりました。
それでお渡しします。
実には種が無いので、株分けしながら増やしてください。」
僕は鉢植えを渡した。
続けてパウロ、サンティと訪問。
ハンドル群島は主な移動手段が船だからね。
すごく喜んでくれた。
特にサンティのバニル国王。
サンティはジプート連邦との交易の窓口となる街だ。そこで塩瓜を使えば、積み込む水が減らせる。
つまりは積み込む荷物を増やせるということになる。けっこう需要はあるんじゃないかな。
3人と契約を交わして終了。
だいたい同じ契約内容になったね。
僕は塩瓜を育てる気はありません。
美味しくないし。
軽い小遣い稼ぎぐらいになればいいかなって気持ちです。
3ヶ所で塩瓜の栽培が軌道に乗った後、振り込まれる金額の大きさに驚がくしたのはかなり後のお話です。
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