ブドウ畑は大丈夫?

やって来ました。

ボルトの街。

モンスターチームも連れて来てます。


村人

「おや、アキラさん。

お久しぶりです。

ワインの買い出しですか。」


「それもあるんですけど。

今回は見回りがメインかな。

なんか魔族との大規模な作戦に負けたみたいだし。」


村人

「ダメですよ。

大きな声で『負けた』なんて言ってわ。

公式な発表では、『魔族の数を減らす作戦は成功した』ってことになっているんですから。」


ふ~ん。

魔族にも被害は出ただろうけど、それ以上に人間側に被害を出していたら意味ないじゃん。


「教えて頂いてありがとうございます。

モンスターとか魔族の被害は出てませんか?」


村人

「今のところは大丈夫です。

でも、街の衛兵や冒険者も戦争に行ってしまい、街の外のモンスターを倒せる人が減ってしまい、モンスターの発生件数が増えています。今のところ、弱いモンスターが少し出るだけなので、農村たちで見回りをして対応していますが、更に増えるとまずいですね。」


「じゃあ、ちょっと見回りをして、モンスターがいたら倒しておきますよ。」


村人

「助かります。

ワインの値引きをしておきますよ。」


「ありがとうございます。」


モンスターたちに手分けして巡回をしてもらおう。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


エベレスト

「やはり、

それらしい戦力はいなかったか。」


魔族

「はっ、人間への追撃も特に大きな被害はなく実行出来ました。本能のままに追いかけ過ぎたモンスターが倒されましたが、すべて想定の範囲内です。」


エベレスト

「当分人間もおとなしくしているだろう。

私はボウザーの亡くなった場所を調べてくる。」


魔族

「エベレスト様が直々にですか!?」


エベレスト

「そうだ。文句があるのか?」


魔族

「・・・いえ。

留守はお任せください。」


エベレスト

「行ってくる。」



確か、ボウザーは精鋭を連れて別行動をしたとある。だが、ボウザーと行動をともにした者は誰1人戻らなかった。

本隊として行動し、生き延びた兵士の証言通りなら、この方角のはず。


だが、、、

何もない。

人間の畑や農村があるだけだ。

なぜ、ボウザーはこんなところに来たんだ?

決戦目前に意味不明な行動だ。



うん?

カエル?

突如、信じられないスピードでカエルが突っ込んできた。

反射的に防御する。

そのまま吹き飛ばされる。


運が良かった。

太刀筋は見えなかった。

斧で防がなければ、致命傷になっていただろう。それほど強烈な一撃だった。


点と点がつながった。

このスピードと攻撃力。

ボウザーを倒したのはこのカエルだ。


出し惜しみは出来ない。

なんとしても生きて帰る。

この化け物の情報を持ち帰らねば。


エベレスト

「ギガントゴーレムアームズ」


大地が盛り上がり、エベレストを飲み込みながら巨大なゴーレムの形になっていく。


超巨大なゴーレム。

木々が腰程度の高さにある。

圧倒的な巨体。


『ゲロゲロゲロゲロ~』


カエルもそれにあわせて巨大化していく。


巨大ゴーレムと巨大カエルが対峙する。


ゴーレムのパンチ。

その巨体からくり出すパンチの威力は隕石の衝突のようだ。

しかし、カエルは身軽に飛びあがる。


ゴーレムの拳は空を切る。

カエルの刀がゴーレムの足を地面に縫い付ける。


エベレスト

「いつの間に!?」


動けないゴーレムをカエルの張り手が襲う。


ドーン

ドーン

ドゴォォォォン


ゴーレムの足が耐えかねて崩れる。


エベレスト

「く、くそ!」


足が崩れてまともに動けないゴーレムをカエルが叩き続ける。

エベレストは崩れゆくゴーレムから逃げ出したいが、そんなチャンスがない。


ゴーレムが崩れ、ついにむき出しになったエベレスト。


エベレスト

「グハッ」


無慈悲に叩き潰されるエベレスト。

エベレストの死を確認するまでカエルの張り手は止まらなかった。


戦いが終わるとカエルは何事もなかったかのように、元の大きさに戻っていった。

カエルが去った後には激しい戦いの痕跡だけが残されていた。

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