状況確認
パエルモのコーラル商会にいます。
マヘリア
「どうやら連合軍は魔族軍に負けたみたいよ。」
僕
「そうなんだ~。
やっぱり魔族って強いね。」
マヘリア
「惨敗だったみたい。
期待の勇者様も生死不明って状態らしいわ。」
北条君たちが生死不明。
そんな知らせを受けても、意外となんの感情もわいてこない。完全に赤の他人って割りきっているからかな。
僕
「まぁ、仕方ないんじゃない。
パエルモには影響ないでしょ。」
マヘリア
「それがそうでもないのよね。」
僕
「えっ、大陸の反対側でしょ。
なんか影響出るの?」
マヘリア
「それが、色々影響あるのよ。
例えば、今回の敗戦でドバン帝国は大損害が出たはずよ。人材的にも経済的にもね。
だから、徴兵や増税を行う可能性が高いわ。
そうすると、税金を払えないや兵役から逃げ出すとか、そういう理由で難民や野盗が増えてしまうわ。」
僕
「なるほど。
じゃあ、護衛を増やしたりしないといけないってこと?」
マヘリア
「そうね。
それもあるわね。
他にも色々あるわよ。
例えば、農民が減れば農作物の値段が上がったり、更には飢饉が発生したり。
それに難民となった人たちは豊かなパエルモを目指す可能性もある。
そうすると、あちらこちらでいざこざが発生するでしょうね。伯爵様も頭が痛いんじゃない。」
難民問題か~。
元の世界では遠い海の向こうの話って思ってたけど、こっちだとすぐ身近な話なんだよね。
マヘリア
「そもそも魔族やモンスターが活動を活発化させることも考えられるわ。
前回、狂嵐のボウザーを倒したことで魔族の活動は沈静化していたけど、この敗戦でまた魔族が勢いを盛り返す可能性は高いわね。
それに兵士や冒険者の被害も大きいから、農村などに回せる人が減るはずよ。
そうなればモンスターによる被害が拡大するリスクも高いと言えるわね。」
僕
「それは困るな~。
ボルトの街からワインを仕入れているんです。あのブドウ畑が荒らされると再生出来るかもわからないし。」
マヘリア
「あぁ、満月亭ではボルト産のワインを出してたね。あそこは今回の戦場であるノルマンからは離れているけど、注意はした方がいいわね。」
僕
「今度様子を見に行ってきます。
少しモンスターを間引いておいた方が安全だろうし。」
マヘリア
「あっ、どうせならワインを買って来てよ。
もちろん、お駄賃込みでお金は渡すから。」
僕
「いいですよ。」
マヘリア
「楽しみ♪
でも話を戻すけど、影響はリズムリア王国内にも出る可能性があるわよ。」
僕
「さっきの難民とか野盗とかって話ですか?」
マヘリア
「それもある。
問題はドバン帝国に近い王国西部に色々出てくるでしょうね。
そうすると、政治的な動きを東部や南部がする可能性があるのよ。
ドバン帝国がすぐに攻めてくる可能性は低い。更に西部は難民とかの対応で身動きが取れない。
それをチャンスと見て、貴族様が政治的な動きをする可能性が高いって話よ。」
政治か~。
パエルモ伯爵は王国でも屈指の大物貴族。
アーサー王子はあんなのでも第3王子。
セージさんも第2騎士団の団長として国内では大きな影響力を持っている。
僕の周りには政治的影響力の強い人が多いけど、あんまり政治的なことには関わりたくないな。完全な偏見だけど、政治家ってあんまり好きじゃないし。
マヘリア
「第1王子と第2王子の母親は南部にあるモンタナの出身なの。
でも最近、南部は勢いがないのよね。
西部のパエルモ伯爵、東部のベルフォーム伯爵が羽振りが良いのに対して、南部のモンタナ伯爵はこれといった成果がないからね。
妹が王妃なのにね。」
僕
「アーサー王子は母親が違うの?」
マヘリア
「そうよ。
側室の子どもよ。
だから、長男のエドワルド王子や次男のブルータス王子からは扱いが落ちるわね。
ま、それでも王子様だから偉いんだけどね。」
初めて知りました。
マヘリア
「有名な話よ。
アーサー王子本人も割りきっているみたいだし。」
この国も色々と複雑みたいです。
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