満月亭

満月亭を発表した5日後。

王都に向けて出発することになりました。

僕、モルトさん一家、エマさん、エリオさん、セリスさん。

それとリンも一緒です。

リンは空を飛べるし、手も器用なので高所の作業を任せるのにぴったりだからね。


僕の結界で高速飛行していく。

みんなも海底散策で使ってたから慣れたもんだね。特に子どもたちははしゃいでいた。


モルト

「王都とパエルモの距離感がおかしくなりそうですね。

普通なら馬車で数日かけて移動する距離ですからね。」


そして到着。

一応、街の外に降りて、歩いて街に入る。

そのまま街の郊外にある満月亭へ。


エマ

「きれいなお庭ですね。

小鳥たちも遊びに来てくれるかな?」


セリス

「潜みやすい庭です。

侵入者への警戒が必要でしょう。」


同じ庭を見て、

こんなに感想って割れるのね。


満月亭の中も一緒に見て回る。


モルト

「良いお店だと思います。

すべてにおいて、高品質です。」


エリオ

「貴族の反応は良いんじゃないですか。

後はこの美しさを維持することが重要でしょうね。」


確かにね。

お庭だけじゃなくて、お店の中も美しさを維持するのには人手が必要だよね。


「そうだね。

お庭はプロの庭師さんに任せるつもり。

店内はみんなで出来るかな?」


エマ

「やってみましょ~。」


その後、荷物の搬入をスタート。

と言ってもマジックバックに入れてある荷物を出すだけだけどね。


キッチンはモルトさん。

ワインセラーはエリオさん。

その他はみんなで協力して整理していく。


重たい荷物も僕やリンがいるから軽々運べる。

夕方にはある程度のメドが立ちました。


「リン、

お仕事お願いしていい?」


リン

『いいよ~。

何をしたらいいの?』


「アーサー王子への使者をやってほしいんだよ。いつなら都合がいいか聞いてきて。

貴族とアポイント取る時は使者をだって最近学んだんだよ。」


リン

『オッケ~。』



アーサー王子のスケジュールを聞いて、

その前にプレオープンをしよう。

テストをかねてやってみたいね。


お客さんは

満腹亭のメンバー、

コーラル商会のみなさん、

それとハロルドさん。

そんなとこかな。


みんなで食べてみよう。

実際にやってみたら問題点が見えてくるかもしれない。

いきなりオープンはリスクがあるよね。

しっかりとシミュレーションをして、正式オープンを迎えられるように万全の準備をしていこう。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



アーサー

「誰だ!?」


ここは王宮。

アーサー王子の寝室。

アーサー王子は眠っていたところを急に起こされた。


女がベッドの上に立っている。

上から見下ろされ、身動きがとれない。


リン

『リンだよ。

リンはアキラ様の使者だよ。』


アーサー

「アキラ、、、アキラの関係者か。

私の寝室をなんだと思ってるんだ、、、」


リン

『アキラ様のお店が完成したんだよ♪

いつ来る?

最初の客にするんだって。』


アーサー

「馴れ馴れしいヤツだな。

まぁいい。

私を最初の客か、、、

深夜に寝室に勝手に入ってきたことを除けば、良い心がけだな。」


リン

『で、いつ来れんの?』


アーサー

「少し待たんか。

そうだな、

6日後だ。

6日後の夜に2人で食べに行こう。」


リン

『6日後ね。

わかった。

バイバ~イ。』


リンの姿が煙のように消えていった。


アーサー

「まったく。

王宮の警備はどうなっているんだ。

お使い感覚で寝室まで入り込まれてはたまったもんではないぞ。」


今の女。

リンと言ったか。

危ないな。

アキラ以上に危険だ。

私に対して何の感情もない眼をしていた。

おそらく、殺せと言われれば、なんの躊躇いもなく私を殺すだろう。


ふ~、

アキラとの関わり方をパエルモに教わらねばならんな。

常識が一切通用せん。

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