ハロルドの呼び出し

ハロルドさんからお呼びがかかりました。


ハロルド

「改装工事は完了したよ。

内装も外装もバッチリなはずだ!

私の自信作だよ!

最終チェックを頼むよ。」


「早いですね!

もう少しかかると思ってましたけど。」


ハロルド

「バカな貴族に占拠された時はどうなるかと思ったけど、怪我の功名ってやつかな、

王子様が推進する事業ってことになってね。

関係する業者が最優先で対応してくれたよ。

やっぱり王子様の威光は大きいね。」


アーサーさんのおかげみたい。

今度お礼を言っておこう。

本人が何かした訳じゃないけどね。

周囲が忖度したみたい。

僕も割りきってお礼を言えるぐらいには大人ですよ。




さっそく、ハロルドさんとお店へ。


外観は貴族のお屋敷っぽい感じはそのままに所々手が入っている。

門扉はとても美しく細かい細工が絶妙だ。

更に素材がミスリル製。

鉄とは色合いや光沢が違う。

アクセサリーじゃないから金ぴかじゃないけど、輝きは美しい。


庭もちゃんと庭師さんが手入れしてくれている。ハナが少し手を出したけど、季節の花が美しく咲いている。

手の行き届いた庭って感じ。

これは定期的に庭師さんに入ってもらわないと維持出来ないね。


中に入るとエントランス。

落ち着いた雰囲気。

過度な装飾はない。

一見すると質素に見えるかもしれない。

お部屋もそうだ。

飾りたててはいない。

しかし、テーブル、椅子、ライト、調度品、すべてが一級品だ。


部屋は3つ。

大きなテーブルがあり、最大で8人ぐらいは座れるかな。

このテーブルはヒメレスさんに作ってもらってる。

大きくて、1枚物の木から出来ている。


食器類や調理器具などはまだ入っていない。

これはモルトさんたちと入れていく予定だ。


「素晴らしいね。

想像以上だよ。」


ハロルド

「私は期待を超えていくアーティストだからね。そう言ってもらえると嬉しいよ。」


「後は荷物を入れていけば、思ったよりも早くオープン出来そうだ。」


ハロルド

「ところでお店の名前は決まったのかい?

満腹亭2号店って訳じゃないだろ?」


「ええ。

決めましたよ。

『満月亭』です。」


我ながら安易なネーミングなのはわかってます。そういうセンスないんだもん。


夜がメインの満腹亭の系列店。

だから、満月亭。

思いついた時は我ながら天才かも、って思ったけど、落ち着いて考えると平凡だよね。


ハロルド

「いいんじゃないかな。

満月亭。

面白いよ。

このお店自体もギラギラ輝く太陽と言うよりも、月光の方がイメージに合ってるよ。」


褒められると嬉しいもんだよね。


「明日から開店に向けて最後の準備を進めていきます。」


ハロルド

「気になることがあればいつでも言ってくれよ。手直しが必要なところが出てくるかもしれないからね。」


ハロルドさんって自信過剰な感じだけど、意外と常識もある。確かに使ってみないとわからない不具合ってあるよね。


「ありがとうございます。」


その後、水回りや倉庫なども見て回り、この日は終了しました。




満腹亭に戻って、みんなを集めました。


「みんな聞いてね。」


全員がうなずく。


「王都の店の改装工事が終了しました!」


一同

「「「おぉぉぉぉ!」」」

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「これから開店に向けて搬入したりと準備を進めていきます。

モルトさん、エマさん、エリオさん、セリスさん、引っ越しの準備をお願いします。

1つずつマジックバックを貸し出すから、必要な荷物はそこに入れてください。」


モルトたち

「「「わかりました。」」」


「それと、王都の店だけど名前を決めました。『満月亭』です。

これからは満月亭って呼ぶんで宜しくお願いします。」


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モルト

「良い名前だと思います。」


エマ

「お月様か~。

きれいな名前ですね。」


エリオ

「姉さんによく合ってますよ。」


いやいや、エマさんに向けて名前をつけた訳じゃないからね。

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