戦姫フレデリカ

待ち合わせはダンジョンの40階。

マユラさんに言われた通り1人で待つ。


しばらくすると、

コツコツコツコツ

足音。


「依頼は嘘ではなかったようだな。」


声の主は、

燃えるような赤い髪。

ショートヘアーの似合う美人だ。

スタイルも良い。

でも眼だ。

眼が完全に野獣だ。

すべてを帳消しにして、相手に威圧感を与えている。


「フレデリカさん?」


フレデリカ

「お前がアキラか。

なかなか面白い呼び出し方をしてくれたな。」


これはどっち?

なんか怒ってるぽいんだけど、、、


「いや、まぁ、」


フレデリカ

「依頼内容に間違いはないな!」


「えっと、、、」


間違いなく怒ってるよね。


「依頼内容を教えてもらってもいいかな?」


フレデリカ

「依頼料はたったの1ウォンカ。

ダンジョン40階に来て、私と戦え。

勝てば1000万ウォンカ、負ければなんでも命令に従え。」


マユラさん、

これは勧誘じゃないんじゃないかな。

呼び出して力でねじ伏せて、命令に従わせる。

しかも1000万ウォンカって凄い大金だよ。

イメージ10億円って感じだよ。

自分でもそれだけ払える資産があることにびっくりだけどね。


どうしよう?

フレデリカさんはやる気満々だよね。


フレデリカ

「どうした?

私に会って怖じ気づいたか?」


「いや、そういう訳じゃ、

あの、騙し討ちみたいで、その、悪いなって。」


フレデリカ

「ほう、私に勝てるつもりか。

ここまで来られる実力はあるんだろう、

だが!

世の中には上には上がいると教えてやろう。」


「い、いや、そういう意味じゃなくて、

その、なんでも命令に従わせるのは申し訳ないと言うか。」


フレデリカ

「私の心配よりも、自分の体と財布を心配した方がいいぞ。

手加減をしてやる気はないからな。」


本気だ。

殺る気満々だよ。

何を言ってもどうにもならなそうだ。


「戦いましょう。

どういうルールにしますか?」


フレデリカ

「気絶、失神、ギブアップすれば負け。

それでどうだ。」


「わかりました。」


フレデリカ

「すぐにギブアップするなよ。

骨の数本ぐらいは我慢しろよ。」


「大丈夫です。

ギブアップするつもりはありませんから。」


フレデリカ

「いいぞ。

少しは楽しませてくれよ。

さぁ、かかってこい!」


「そちらからどうぞ。

僕が攻撃するとすぐに終わっちゃうんで。」


フレデリカ

「いちいちムカつく男だ。

いいだろう。

後悔するなよ!」


フレデリカさんが躍動する。

バネが跳ねるように飛びかかってくる。


相当速い。

昨日のディーンさんたちと比べると倍速再生のような差がある。

パンチとキックの連撃。


でも、当たりはしない。

十分回避可能だ。


フレデリカ

「やるじゃないか!

ククク、楽しめそうだ!」


避けられて嬉しそうってどういうこと?

でも嬉々として攻撃してくる。


僕としても当たりたくないからね。

引き続き避ける。


フレデリカ

「素晴らしい回避力だ。

だが、避けているだけでは勝てないぞ。

そろそろ反撃したらどうだ!」


「じゃあ、いくよ。」


僕はメイスを握る。

フレデリカさんが身構える。

僕の動きを見て、避けるか防御するつもりだろう。


踏み込む。

フレデリカさんが回避を諦め、防御を選択した。

でも、間に合うかな。


腕の隙間をぬって、メイスがボディにめり込む。


フレデリカ

「グハッ」


意識を手放すまいと必死に食いしばる。

立っていられたことを褒めるべきだね。

フレデリカさんは踏みとどまった。


でも、

僕は左手でフレデリカさんの首を鷲掴みにし、引きずり倒す。

そのまま、左手で首を押さえつけ、右手でメイスを構える。


「どうですか?」


フレデリカ

「ばいりばじだ。」


喉が押さえつけられてまともに発声出来ない。


僕はそのまま左手で回復魔法を発動する。

治ったところで左手を放す。


フレデリカ

「回復魔法まで使えるのか。

凄まじいな。」

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