侍 アイラ

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今回はアイラの視点です

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少し時間をさかのぼる。


リィズとフィオを送り届けて、待機するように言われた。

なお、屋敷に入る時に武器を預けてある。

貴族のお屋敷に入る場合、当然のことである。主であるアキラの場合、武器については何も言われないが、それはアキラが強過ぎて武器の有無が無意味だからである。


護衛は主人が用件を終わらせるまで、別室で待機である。

菓子やお茶が出されるあたり扱いはかなり良い。アキラが特別待遇である証拠だろう。


途中、執事のザバス氏が何度か顔を出した。

どうやら予定よりも時間がかかっているらしい。

更に試食会を今からするらしい。

かなり遅くなるな。

まぁ、それだけ盛り上がっているということだろう。

良いことだ。



ドゴォォォォォンンン!!


突然、轟音が鳴り響いた。


何かはわからない。

だが、考えるのは後回しだ。

アイラの役目はリィズとフィオの護衛である。2人と離れていては守ることはできない。

アイラはとにかく駆け出した。


戦闘の音が聞こえる。

パエルモ伯爵は大物貴族だ。

そこに攻めてくるのはよほどのバカか、よほど自信があるかのどちらかだ。


アイラは後者を想定している。

戦闘の音が断続的に続いている。


「アイラさん、こちらへ!」


ザバス氏だ。

ザバス氏に従い、駆けぬける。


入った部屋には、

リィズとフィオ。

それにタチアナ様、ジョシュア様、マーティン様。

そして使用人。


ジョシュア

「ザバス!

状況はどうなっている。」


ザバス

「賊が侵入しました。

現在、騎士たちが対処にあたっておりますが、最悪の事態も想定して行動する必要がございます。」


ジョシュア

「父上の留守を狙ってきたのか。」


ザバス

「一時避難します。こちらへ!」


ザバス氏の案内に従い避難しようとした時。


ダッダッダッ

騎士が駆け込んだ。


騎士

「お逃げください!

侵入者は異常な強さです!」


そう言った騎士のわき腹は赤く染まっている。かなりのダメージを負っている。戦闘は無理だろう。


アイラ

「残念ながら、間に合わなかったようだな。

剣を借りるぞ。」


アイラは騎士の剣を勝手に引き抜く。


騎士

「何をする!」


ザバス

「かまわん。剣をお貸ししろ。」


いつもの剣に比べれば、相当質は低い。

だが剣が用意出来たのは上出来だ。


「グハッ」

誰かが殺られた音だ。

近いな。


2人か。

男女コンビか?

仮面で顔を隠している。


他にもいる可能性はある。

時間はかけたくないな。


アイラは一期に加速し、突進のような上段斬り。

1人を仕留めたかったが受け止められた。

大きく後ろに吹き飛ばしただけだ。


もう1人が斬りかかってきた。

速い!

受け流す。


なんとか受け流したが、なかなかの攻撃だ。

油断ならない相手だ。


2合、3合と斬り結ぶ。

その間にもう1人が戻ってくる。


2対1。

相手のステータスは高い。

だが、互角の人間と戦った経験が少ないのだろう。

強いが動きは単純。

連携もそれほど高くない。


十分戦える!


仮面男

「こいつ、、、強い!」


仮面女

「さすが上位貴族。

切り札を持っていたのね。」


互角以上に渡り合う。


そこに、

ゴウッ!


火の塊がアイラに向けて放たれる。

アイラは手近にあった皿を投げる。

皿とぶつかった火の塊がその場で燃え上がる。


賊の援軍だ。

さすがにきびしい。

だが、弱音を吐いている暇はない。


援軍仮面

「こちらはハズレよ、

退却するわ。」


仮面男

「わかった!

退くぞ!」


気を抜くのが早い。

仮面の男を蹴り飛ばす。


仮面男

「グッ」


しかし、仮面女が牽制してくる。

追撃は出来ない。


賊が引き揚げていく。


まだ油断は出来ない。


ジョシュア

「退いたのか?」


ザバス

「まだ油断出来ません。

私が確認して参ります。

皆さまはリィズさん、フィオさんのそばを離れないでください。」


その後、賊が退却したことが確認された。

騎士たちには甚大な被害が出た。

更に騎士たちの詰所にも襲撃があり、甚大な被害が出たようだ。

リィズとフィオがケガをしなくて良かった。

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