お料理教室のお願い
ある日。
マーティン様がお店にやって来た。
マーティン様はパエルモ伯爵の次男。
タチアナ様の弟だ。
長女のタチアナ様と違ってまだまだ子どもだ。そのマーティン様が執事のザバスさんと一緒にやって来た。
マーティン
「アキラよ、手伝ってほしいんだ。」
僕
「なんのことですか?」
説明なさ過ぎでしょ。
ザバス
「マーティン様、順を追って説明しないとアキラ様にも伝わりませんよ。」
マーティン
「順だな。
どこから話せばいい?」
ザバス
「今の状況とマーティン様の目的をお伝えした上で、お願いをすればよろしいかと。」
なんかお願いがあるんだね。
なんだろう?
パエルモ伯爵の次男だからね。
基本的にはお願いは聞かないとね。
簡単には断れないよ。
マーティン
「父上と母上が王都に行っているんだけど、お戻りになられた時に結婚記念日をお祝いしたいんだ。私が料理を作るのを手伝ってほしいんだ。」
僕
「でもお屋敷にも料理人の方がいらっしゃるでしょ。なぜ僕に依頼するんですか?」
マーティン
「父上と母上の想像を超えたいんだ。
なのに屋敷の料理人は包丁は危ないとか、火は危険だとかなんとか言って、私に何もやらしてくれないんだ。」
僕
「なるほどね~。
ザバスさん、いいの?」
ザバス
「マーティン様が望むなら、叶えて差し上げたいと考えております。
もちろん、本当に危険なことはお止め致しますが。」
マーティン
「どうだ!
やってくれないか?」
僕
「つまり料理指導の依頼ということですか?
依頼料と料理の希望をお教えください。」
マーティン
「そうなんだ。
依頼料についてはザバスと話をしてくれ。
料理は珍しくて父上も母上も驚くような料理を作りたいんだ。
作り方を教えてくれればいい。
父上と母上が戻られる日は私が自分で作るからな。」
僕
「じゃあ、料理のレシピと作り方の指導ですね。いつがいいですか?」
ザバス
「明日の午後に当家の屋敷でお願いできませんか。実際に屋敷の厨房で作れるようにならないといけないので。」
僕
「満腹亭の営業が終わった後でもよろしいですか?」
マーティン
「もちろんだ。」
僕
「料理を教えるなら、、、僕よりリィズやフィオの方がいいよね。
うちの料理人をお貸しします。
それでよろしいですか?」
マーティン
「問題ないぞ。
よろしく頼む。」
僕
「じゃあ、食材は持っていきます。
調理道具は伯爵邸の物を使いますね。」
ザバス
「承知致しました。
使用人たちに伝えておきます。
それと、もしかしたらジョシュア様やタチアナ様も参加したいとおっしゃるかもしれません。食材は多めにお願い持参願えませんか。
もちろん足りなければ屋敷にある食材を使って頂いてかまいません。
依頼料は最初から上乗せしておきます。」
僕
「承知しました。」
その後、少し話をしてマーティン様とザバスさんは帰っていった。
みんなを呼んで明日の相談をすることにしました。
僕
「リィズ、フィオ、
明日の満腹亭の営業が終わったら、パエルモ伯爵のお子さんに料理を教えてあげてほしいんだ。次男のマーティン様の依頼なんだ。
おそらく、ジョシュア様とタチアナ様も参加しそうな感じ。」
リィズ
「わかりました。」
フィオ
「何をお教えすればいいんですか?」
僕
「伯爵がご夫婦で王都に行っているらしくて、戻ってきた時に料理を自分で出したいらしいんだ。結婚記念日のお祝いらしいよ。」
リィズ
「お祝い料理ですか。」
フィオ
「料理初心者でも作れるメニューで、華やかさもほしいですね。」
僕
「少し難しいけど、メニューを考えないとね。」
リィズ
「メインはケーキですかね。
ミルクレープなんてどうでしょう。」
僕
「いいかも。
時間はかかるけど、難しい工程はほとんどないもんね。見栄えも良いし。」
フィオ
「料理はロールキャベツにしましょうか。
キャベツで巻く作業とかも楽しく出来るんじゃないでしょうか。」
僕
「いいね。
フィオの作るロールキャベツは最高だからね。それを少し簡単にして教えてあげればいいんじゃない。
それとサイドメニューも少し考えておいて。」
リィズ・フィオ
「「わかりました。」」
僕
「アイラさん、送り迎えお願いするね。」
アイラ
「あぁ、任せてくれ。」
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