ブラックキャット

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今回は別人の話です。

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ブラックキャット

リーダーのテオ

槍使いのドッゴ

斧使いのギャン

弓とナイフのニック

4人で作ったCランクパーティーだ。


今回は騎士団との共同のスライム討伐依頼に参加している。

騎士団もいつもの鎧は着ていない。

すぐに劣化するからだ。

スライム討伐はボロを着て、壊れそうな武器で行うのが鉄則だ。だから騎士団も冒険者も見た目にはあまり差がない。

もちろん魔法使いはそんなことを気にする必要はないけどね。


ブラックキャットは魔法使いの冒険者たちを護衛するのが役割だ。

基本的な攻撃は魔法使いたちに任せればいい。武器を借りたのも保険のようなものだ。


ニック

「凄いナイフだな。

これはAランク向けの装備だぞ。」


ドッゴ

「この槍も自動修復抜きにしても、凄まじい攻撃力だ。」


ギャン

「これだけの武器を簡単に貸してくれるとは信じがたいな。」


テオ

「そんな相手を敵に回したくないだろ。

武器については誰にも口外するなよ。」



任務は順調だった。

まずは街道に現れていたスライムたちを魔法攻撃で退治。そこを起点にスライムの発生源に迫っていく。


作戦を指揮しているのはパエルモ騎士団の団長ヒース様だ。

有能な人なんだろう。テオも冒険者のリーダーとして最初に挨拶したけど、しっかりと物事を考えるタイプだと思う。

魔法使いたちのMPの消耗具合を確認しながら無理をしない。


時間は多少かかるけど、武器や防具の消耗はない。日当を払ったとしても結果的には安くすむんだろう。


街道の安全は既に確保されており、商人たちの通行は再開出来ている。

これで、時間がかかっても、どこからもクレームは入らないだろう。


街道を外れ、発生源に向かって進むとスライムの量が増えてきた。

さすがに異常過ぎる。


テオたちも戦闘機会が増えてきた。


テオ

「前に出過ぎるな。

囲まれると厄介だぞ。」


ブラックキャットの活躍は目を見張るものだった。


テオ

「なんて剣だ!

自分が強くなったと錯覚しそうだな。

元の剣に戻ったら感覚を取り戻さないとな。」


ギャン

「そろそろMPが危険水域だ。」


ニック

「同じく!」


テオ

「よし、後退するぞ!

しんがりは俺だ。

先頭はドッゴ頼むぞ。」


ドッゴ

「任せとけ。」


スライムの多さに苦労させられた。

パエルモ騎士団も切り札を使ったようだ。

片腕のない槍使いが2人。

大野と杉山と呼ばれていた。


強い。

凄まじい強さだ。

武器が劣化する前にどんどんスライムを倒していく。

おそらくディオンさんたちよりも強い。

さすがパエルモ伯爵。

凄い手駒を持っている。


夜。

ヒースが冒険者のテントにやって来た。


ヒース

「想定していたよりも数が多い。

そちらの物資は大丈夫か?」


テオ

「問題ございません。

食糧は多めに用意してあります。」


ヒース

「何人か直接戦闘を行っていただろう。

冒険者側の戦力が落ちるようなら計画を修正せねばならんからな。」


よく見ている。

有能な人だね。


テオ

「問題ございません。

壊れにくい武器が用意出来たので。」


ヒース

「見てもいいかな。」


テオ

「出来ればご容赦ください。

武器は冒険者の命ですので。」


ヒース

「失礼した。

冒険者たちは想像以上の働きをしてくれている。明日以降も頼むぞ。」


テオ

「ご期待に応えられるように頑張ります。」


そりゃ、不審に思うだろう。

たかだかCランクパーティーがスライムの溶解液に耐えられる装備を用意しているんだから。それでもアキラとの約束があるので言う訳にはいかない。

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