ハモンドの受難

トマーシュさんのアドバイスを受けて、嫁に来てくれる女性を探すことにしました。


僕の人材募集と言えば、

アルバンにあるハモンド商会での奴隷購入。もはや定番だね。


さっそくアルバンの街まで飛行し、ハモンド商会を訪れた。

すると、なんか大変な感じ。

火災でもあったのかな?

修理中だった。お店の4分の1くらいが屋根無しになっている。壁も一部修理している。


「おや、アキラ様。

ようこそ、お越しくださいました。」


声がした方向を見るとハモンドさんがいた。

腕には包帯が巻かれている。


「お久しぶりです。

何かあったんですか?」


ハモンド

「ええ、色々と。

こんなところで立ち話もなんなので、こちらへどうぞ。」


ハモンドさんに連れられて応接室へ。


ハモンド

「実は強盗にあいまして、

建物は壊されるわ、

奴隷も奪われるわ、

で災難だったんですよ。」


「それは大変でしたね。」


ハモンド

「犯人はおそらく異世界人ですね。

このところ異世界人による奴隷商への強盗事件が帝国内で増えているんですよ。

警戒していたんですが、さすがに異世界人は強いですね。護衛が簡単にやられちゃいましたよ。」


百田先生のグループかな。

確かハモンドさんのお店には元クラスメートの赤沢さんがいたから狙われたのかも。

なかなかアグレッシブに活動しているみたいだね。

基本的に異世界人は上級職以上が多いから、強いんだよね。

それが集団で襲ってきたら、普通の奴隷商だと負けちゃうだろうね。


ハモンド

「大きな損害が出たんで穴埋めに商売を頑張らないといけませんよ。

是非、今日は奴隷をご購入ください。」


「良い人がいれば、ね。

戦闘が出来て、飲食店の店員も出来そうな人を1人探しているんだけど。」


ハモンド

「承知致しました。

少々お待ちください。」


ハモンドさんが奥に消えた。




・・・しばらく待つと。


ハモンド

「お待たせ致しました。

今回ご紹介するのは3名です。」


「お願いします。」


ハモンド

「1人目はこちら。

セリスです。

元暗殺者で、上級職アサシンです。

ステータスは申し分ないかと。

ただ、ご覧のように親指が切断されています。通常の武器を握ることは難しいでしょう。お皿を持ったり、机を拭いたりは出来ます。」


無表情だ。

顔に生気がない。


「どうしてそんなことに?」


ハモンド

「暗殺者の組織を抜けようとした時にやられたそうです。」


ハモンドさんの説明に軽く頷く。


暗殺者の組織を抜ける。

なんかドラマチック。

どんな事情があったのかな?


ハモンド

「2人目はこちら。

リリーです。

職業は弓使い。

孤児院を出て冒険者になったが実績を積む前にメンバーが大怪我。そのまま坂を転げ落ちたという流れです。

まぁ、色々と経験不足はありますが健康で若いので、教育をすれば長く使えると思いますよ。」


赤毛の女の子だ。

まぁ、よくあるストーリーだね。

冒険者になってケガをして奴隷になる。

軽く自己紹介してくれたけど、受け答えに特に問題は無さそう。


ハモンド

「3人目はこちら。

マリンです。

職業はシーフ。

元々飲食店で働いていたので経験者です。

お店のお金に手を出した為に奴隷として売られてしまいました。

今は反省しております。

経験者ですので即戦力として使えると思います。奴隷ですので、そういった犯罪行為の心配は不要です。」


パスかな。

お店のお金に手を出した人はダメでしょ。

信用出来ないよ。

いくら奴隷の腕輪で縛っていると言っても、一緒に働きたくない。


2択かな。

元暗殺者で指を切り落とされたセリスさん。

元新人冒険者でこれからに期待のリリーさん。


リリーさんは可もなく不可もなく。

セリスさんは能力は高そうだけど、指が欠けているから制約はある。


どちらにしようかな?

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