結審

裁判官がアクダイ伯爵の書状を読み終えて。


裁判官

「確かにアクダイ伯爵の書状だ。

モーブ氏は信用出来る人物と書かれている。」


ドコゾーノ

「アクダイ伯爵は人の本質を見抜く眼を持ってらっしゃる。そのアクダイ伯爵が太鼓判を押したのだ。我が息子モーブの発言は信用出来ると。

もう迷う必要は無いだろう!

さっさと結審をしろ!」


裁判官

「うむ、、、

確かにドコゾーノ卿の発言には説得力がある。

アキラ氏よ、

他に証拠が無ければ結審に移るが何かあるか?」


「証人を連れてきました。

発言を認めて頂けますか?」


裁判官

「認めましょう。」


「入ってください。

お願いします。」


1人の証人が入廷する。


証人

「アキラは無罪だ。」


それだけ宣言した。


ドコゾーノ

「時間の無駄だ。

さっさと終わらせろ!」


証人

「わめくな、下郎が。」


ドコゾーノ

「な、なんだと!

貴様!

不敬罪で訴えるぞ!

裁判所での発言は記録されている。

言い逃れはできんぞ!

愚か者め!」


証人

「ハッハッハッ、

訴えたければ訴えるがいい。

ただし、この第三王子であるアーサーを、こともあろうに不敬罪で訴えた愚か者として末代まで語り継がれるだろうがな。」


ドコゾーノ

「なっ!?

アーサー、、、殿下、、、」


アーサー

「そうだ。

私も不敬罪で訴えられるという経験が出来るとはな。

面白いな~。

クックックッ。」


ドコゾーノ

「も、申し訳ございません。

まさか殿下がこのような場所にいらっしゃるとは夢にも思わず。

ど、どうかお許しを!!」


アーサー

「さて、どうしたものか。

こちらにいるアキラには私の指示でレストランを作らせていたのだが、それを邪魔する愚か者がいたようなのだが。

どこのどいつだ?」


ドコゾーノ

「も、申し訳ございません!!

まさか殿下の事業とは知らず、、、」


アーサー

「私は何かをする度にお前に伝えねばならんのか?」


ドコゾーノ

「滅相もございません!」


アーサー

「どうするつもりだ?」


ドコゾーノ

「・・・廃嫡、

廃嫡致します。」


モーブ

「なっ!?

父上!!」


ドコゾーノ

「モーブとは親子の縁を切っております。

この男が何をしてもドコゾーノ家とはなんら関係ございません。」


モーブ

「父上!

父上!

どうか、ご再考を!

私が何をしたと言うのです!」


ドコゾーノ

「だまれ!

お前はもはや私の子ではない。

お前に私を父上と呼ぶことは認めん。」


モーブ

「そ、そんな、、、」


アーサー

「裁判官、さっさとこの茶番をおわらせよ。

もう結論は見えたであろう。」


裁判官

「はい。

仰せのままに。

モーブの発言は信憑性に欠ける。

アキラ氏の発言を当裁判所は事実として認定する。

よってアキラ氏は無罪である。」


アーサー王子が入ったら一瞬で終わりました。

さすが王子。




実は昨日、王宮に侵入し弁護を依頼しておきました。王都にいる知り合いで、一番位が高い人って考えると他に選択肢はなかった。



アーサー

「これで貸し1だな。」


「負債を返済しただけです。」


アーサー

「お前のように特異な力を持つ存在を野放しには出来んのだ。多少強引過ぎる手を使ったことは詫びるが、王族としてアキラを看過出来ないことも理解してほしい。」


「今日はやけに素直におっしゃいますね。」


アーサー

「私は決して、アキラとの関係を悪化させたい訳ではない。誤解は解いておかないといけないからな。」


「誤解じゃない気もするけど、まぁいいか。

今日はありがとうございました。

是非、お店がオープンした際はお召し上がりください。」


アーサー

「楽しみに待っておこう。

何か困ったことがあれば相談してくれてかまわん。だが、私の私室に簡単に侵入するのは勘弁してくれ。」


「これからはちゃんとアポイントを取ります。」


アーサー

「当たり前だ。」


これで王都の新店舗オープンへの障害は解消出来たね。後はハロルドさんにリフォームを頑張ってもらおう。

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