ハロルドの呼び出し

ある日。

王都で僕のお店のリフォームをしてくれている自称天才デザイナーのハロルドさんから至急来てほしいとの連絡が入った。


かなり急ぎみたいなので、早速王都のハロルドさんの事務所まで飛んで行きました。

文字通り飛んで行ったから、連絡をもらった日の夕方には到着出来た。


ハロルドさんの事務所を訪ねると、


ハロルド

「急いで来てほしいとは言ったけど、もの凄い急ぎっぷりだね。何をどうすれば、こんなに早く来られるんだい?」


「飛んで来ましたよ。」


ハロルド

「まぁ、どうやって来たかはこの際いいや。

とにかく大変なんだよ!」


「何があったんですか?」


ハロルド

「お店がならず者達に占拠されて工事が出来ないんだ!」


「えっ!?

それは困ります。

そんなならず者達は衛兵とかに言って捕まえられないんですか?」


ハロルド

「それがただのならず者じゃないんだよ。

貴族が絡んでいて、衛兵も簡単には動けないんだ。」


「どういうことですか?」


ハロルド

「お店を占拠しているのはドコゾーノ男爵の嫡男モーブと言う男なんだ。」


どこぞのモブ?

なんかショボそう。


ハロルド

「そのモーブが建物の所有権を持っていると主張していてね。

それで衛兵も手を出せないらしいんだよ。」


「なんでですか?」


ハロルド

「ただの所有権の争いってことにされてしまってね。それは衛兵の仕事じゃなくて、裁判所の仕事なんだよ。

だから所有権がはっきりしない間は衛兵も動けないらしい。

その間、工事が出来ないんじゃ、スケジュールが大幅に遅れてしまうんだ。」


「そんな~。

困ります。」


ハロルド

「困るのは私も一緒ですよ!

私の芸術が!

とにかく工事の邪魔する輩を追い出しましょう。我々が待たされるいわれは無いんですから!

行きますよ!」



ハロルドさんに連れられて僕のお店へ。


僕のお店に着くと確かに見慣れぬ輩が占拠していた。

ザ・ごろつき、って感じの連中だ。


輩A

「なんだ、またお前か。」


ハロルド

「さっさと出ていきたまえ!

私の仕事が進まないじゃないか!」


輩B

「ここはモーブ様の屋敷なんだよ。

勝手に改装するんじゃねぇよ。」


ハロルド

「私はこちらにいるアキラ氏の依頼を受けて仕事をしているんだ。

邪魔をするんじゃない!」


輩A

「お前が詐欺師か。」


輩C

「モーブ様の邪魔をするんじゃねぇよ。」


ハロルド

「どちらが邪魔しているんだ!」


ハロルドさんが叫ぶが相手にされない。


すると、誰かやってきた。


モーブ

「お前か。

私の土地を荒らす不届き者は。」


ハロルド

「誰が不届き者だ!

私の邪魔をしているのはお前たちじゃないか!」


モーブ

「このモーブ様になんて口のきき方だ!

俺はドコゾーノ男爵の嫡男モーブ様だぞ!

平民風情が俺に口ごたえだと。」


ハロルド

「こそ泥風情が何を言っているんだ!

ここはアキラさんの土地と建物だ!

さっさと出ていけ!」


モーブ

「おい!

このバカに現実を教えてやれ。」


輩たち

「「「はい。」」」


輩たちが武器に手をかけながらこちらに迫ってくる。


ハロルド

「な、何をするんだ。」


ハロルドさんに迫る輩たち。

仕方ないな~。


僕はハロルドさんの前に立つ。

輩が伸ばした手を掴み、投げ飛ばす。

僕が投げ飛ばした輩が他の輩に衝突して、みんな一斉に倒れた。


「どうだ。」


モーブ

「へへへ、

強いじゃないか。

でもよ。

真っ当な一般市民である俺の大事な部下にケガさせちゃダメだよな。

そんな危険人物は衛兵に捕まえてもらわないとな。」


「な、何?」


ハロルド

「先に手を出したのはそっちだろ!」


モーブ

「おいおい、嘘はダメだろ。

いきなり、ソイツが暴れたんだ。」


あれよあれよと言う間に衛兵たちがやって来た。


あれ?

僕、捕まってる?

これからどうなるんだろ?

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