最強の冒険者サポーター

冒険者もある程度の年齢になると定住を考えるらしい。そのタイミングで冒険者を辞めてしまう人も多いらしい。

冒険者を辞めると言っても、商人のお抱えとか、衛兵になったりとかした後も、冒険者ギルドの登録を消す訳ではない。

身分証として、強さの証として使えるので、そのままギルド登録は残すらしい。


テオ

「さてと、俺の事情の方はある程度アキラ君にも伝わったと思いますよ。

そろそろアキラ君と私を引き合わせた理由を教えてください。

何か理由があるんでしょ?」


ロイズ

「そうですね。

アキラ君は満腹亭のオーナーであり、私の冒険者サポーターでもあるんです。」


テオ

「えっ、

ギルドマスターの冒険者サポーター?」


ロイズ

「そうです。

アキラ君、少し君の能力のことを話してもいいかな?」


「ロイズさんにお任せします。」


基本的に能力を他人にバラす行為はNGだ。

職業やレベル、スキルなどを勝手に他人に教えるのは大問題になる。

冒険者同士は基本的に接点は無いが、場合によっては対立する相手に雇われる場合もある。自分の手の内をさらすことは避けることを良しとする傾向があるのだ。


ロイズ

「アキラ君には従魔が6体います。」


テオ

「なっ!?

そんなに沢山の従魔を率いているんですか!」


ロイズ

「確かにそれも驚きですが、その従魔の強さが更に驚きです。」


ゴクリ。

テオさんが唾を飲み込む。


テオ

「まさかワイバーン並とか?」


ロイズ

「レッドドラゴンを簡単に倒せる実力です。それが6体もいるんです。」


テオ

「そんな!?

それが本当なら国を相手に戦争出来ますよ!」


ロイズ

「事実です。

ただし、世間には知られないようにしています。本人もあまり好戦的な人柄ではないので、このことは一部の人間しか知りません。」


テオ

「普通は聞かされても信じないですよ。

ディオンさんとギルドマスターがわざわざ嘘をつくとは思わないので、俺は信じますけど。」


ディオン

「俺たちが引退したら、このパエルモで最高位の冒険者はテオたちになるはずだ。

街に危険が迫っているような場合、お前たちの行動が結果を左右することもあり得る。

その時に、アキラのことを知っているかどうかは大きな差がある。

だから引き合わせたんだ。」


テオ

「理由はわかりました。

でも、それならアキラ君に問題解決に当たってもらえば全て解決出来るんじゃないですか?

それほど強いならどんなモンスターも大丈夫でしょう。」


ロイズ

「力がある、のと、力を使う、は別物です。

アキラ君は冒険者ではありません。

便宜上、私の冒険者サポーターとして登録してもらっていますが、行動を制約するものではございません。」


テオ

「・・・なるほど。

だいたい理解しました。

確かにおっしゃる通りですね。」


テオさんは何かを考えながら、話している感じだ。


ディオン

「まぁ、難しく考える必要はねぇよ。

知っておく。

それが大切だ。」


テオ

「わかりました。」


ディオン

「難しい話はこれぐらいにして飲もうぜ。」



ディオンさんの言葉をきっかけに飲み会モードに突入。僕はお酒じゃないけどね。

テオさんは気さくないい人でした。

コミュニケーション能力高め。


ロイズ

「冒険者もCランクになると複数のチームのとりまとめを任せられるケースも増えてきます。コミュニケーション能力も大切ですよ。」


「僕には無理だな~。」


テオ

「慣れだよ。

何回かやってりゃ、自然と出来るようになるさ。」


ディオン

「戦闘以外のそういった能力が、冒険者を辞める時には重要になってくるんだぜ。」


確かに、ディオンさんもかなり年上だけど、しゃべりやすい。

僕がしゃべりやすいようにしてくれてるんだろうね。

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